あれだけ暑い暑いと汗を垂らしながら堪えていた夏はとうに過ぎ去った。
所謂『夏の終わり』というものを観測した暁には、浴衣に線香花火でもしながら、ポトッと落ちる花火を見て「今年の夏も終わりか……」などと呟いてみたいと妄想しながらも、夏は気が付けば秋へと姿を変えている。
唐突だが、私は四季の中で夏が一番好きだ。
寒さに弱く暑さに強いという体質的な好みもあるが、それ以上に生命が活気付いているのを肌で感じられるのが良い。
燦々と降り注ぐ太陽、喧しく自己主張する蝉の声、海辺は太陽光を乱反射してキラキラと輝き、浜辺では元気な若人が戯れる。
私も学生時代は夏フェスという日光を全身に浴びながら外で開放的な気分になることをしたものだ。
さて、そんな私が今年の夏に何か夏らしいことをしたかといえば……、何もない。
クーラーの効いた部屋で寝る。
台風に怯えながら寝る。
これらも夏らしいと捉えるならば辛うじて夏らしいことをしたと言えるが、流石にいつでもしていることに枕詞を付けて夏らしく仕立て上げて提出するほど私の生命力は衰えてはいない。
夏に対してはまだ貪欲である。
考えれば、ここ数年は夏らしいに該当するイベントや催しに参加した記憶がない。
忌まわしき流行病の影響も勿論多分にあるが、それ以上に私の活動がどんどんと内向きになっている。
常に金はあれば使い無ければ工面する刹那的な生き方をする私に、夏のために備えるなどという計画的な生き方など出来るはずがない。
行ったとして、ふらりと電車でどこかの海へ行き黄昏るなんてところだろうが、そんなナルシストな行為を私が行うだけで反吐が出る。
来年こそは『夏らしい』ことのために何かしらを練りたいと、秋の始まりに反省会をするのであった。
反吐が出るで思い出したが、一つだけ夏らしいことをしていた。
熱中症である。
水分補給だけではなく塩分補給も忘れずに。
未来の私への助言である。