関西人特有の言い回しに「行けたら行く」というものがある。表面的な意味としては「もし都合が合うならば行く」という好意的な意味に受け取られるが、その実際は「面倒なので何かしらの用事がある事にして断りたい」というのがほとんどである。「行けたら行く」に微塵でも期待をしてはいけない。彼らは心の片隅でその誘いを億劫に感じているのだ。
では「いいですね。今度行きましょう」はどうか。私は今までに何度もこの言葉を耳にした。ラーメン屋を誘ったアルバイト先の先輩、ラーメン屋を誘ったアルバイト先の後輩、油そば屋を誘った友人、どれも叶わぬまま日付だけを重ね風化した。「今度行きましょう」などと如何にも乗り気に見せたところでその実は軽視されているのがほとんどだ。追って「こないだの件はいつにします?」などと予定を合わせようとした者は一人として見たことがない。
とはいえ、私も口約束を軽視しているのは事実である。所詮はその場のノリとテンション。「今度行きましょう」などと軽々しく口にしても、一夜明けて夢から覚めれば口約束は月と共に朝を迎えることなく何処かへ消えやすい。私も契約不履行となった口約束は記憶にないだけで数えきれぬほどあるだろう。
しかし、誘った側となると案外本気にして覚えている。とはいえ、畳み掛けるように「いつにします?」などと追って連絡をすればしつこく思われそうでそれもまた躊躇われる。誘う側としては相手が口約束をキチンと果たし、「いつにします?」とその場限りの燃え盛るテンションに薪をくべることを待っているのだ。詰まる所、相手の反応を待っているのだ。何と厄介な人間なのだろうか。しかしそれも人間の性である。
さて昨日、私とアルバイト先の後輩との間で台湾まぜそばが美味い店に行く口約束が結ばれた。日時は11月の日曜日のバイト前。これは誰の記憶にも残らずに時に流され消えるのか、それとも二人の確かな約束として果たされるのか。答えは神のみぞ知る。二人に美味いまぜそばがあらんことを。そして、願わくば彼から日程調整の連絡があらんことを。