冷静になって考えると、私の周りには甘党が多すぎる。あちこちのカフェに甘味を求めて日々旅を続ける人や、スイーツの食べ放題に全力を注ぐ者共など、誰も彼も甘さに飢えていると表現しても過言ではないほど甘さを求めているようだ。まだ女性ならともかく、私の知人の男は揃いも揃って俗に言うスイーツ男子なのだ。近年のジェンダー論に問題がありそうな台詞ではあるが思わず「男がスイーツなんぞ軟弱な物を食うな!」と叫びたくなるほどである。
こう叫ぶ私はというと、勿論辛いものが大好きな人間である。特にブラックペッパーのピリ辛には滅法目がなく、ブラックペッパー味のスナック菓子があれば思わず買ってしまうほどだ。他にも、某コンビニ限定で販売されている辛いことで有名な蒙古タンメン中本のカップ麺に虜になっており、舌が焼けるほどの辛さに火を噴きながら麺を啜り、更に残った汁でチーズリゾットを作って汁まで余さず食すほどだ。逆に甘いものはというと然程興味はなく、知人と揃ってスイーツの食べ放題に行ってもすぐに胃もたれしてしまい一人だけ損をすることになる。
かといって、辛いものが得意かといえばそうでもない。かつてとあるラーメン屋にて坦々麺を挑んだが、平均的な辛さを頼んだものの物の見事に麺を啜る度に噎せ返し、最終的には3分の1ほどを残す結果となった。上記した蒙古タンメン中本のカップ麺も初めて食べた時は辛さに穴という穴から汗が噴き出し水を適宜含まなければ完食することもできなかった。他にも辛さに惹かれて購入するも私の許容範囲を超越する劇物だった過去は数え切れないほどある。しかしそれでも懲りずに辛味に挑むのだ。私は辛いものが好きではあるが決して得意ではない。所謂下手の横好きといったところだ。
辛さの高みを目指すつもりは毛頭ない。頂を目指そうものなら身を突き刺すほどの刺激に脳細胞は消し炭にされ、一瞬にしてカラカラに乾涸びるほど発汗し死に至るだろう。私は辛さの麓でハイキングをする程度で良い。己の身の丈にあった辛さと刺激を追い求め、汗を流しながら健やかに食らう。それが丁度良い。これが私の辛味道である。