教室の扉を開けるとそこには一面の花畑が広がっていた。これは夢だろうか。一歩、また一歩と前に進む。どこまで続いているのだろう。しばらく進んだところで誰かの声がした。暖かくも懸命に叫んでいるような声だった。そのとき、ふと思い出した。ああ、ここは死後の世界だった。僕は今日、学校に来る途中で車とぶつかってそのまま...

やるせなさと苦しさで急に胸が苦しくなった。戻りたい....普通の生活がしたい....そう願う一心だった。不思議な声はだんだんと大きくなる。....覚まして.....目を覚まして.....お願いだから!!

......ッ!!!!気が付くと僕は病院のベッドの上にいた。僕が目を覚ましたと同時に隣で見守っていた母が泣き崩れた。

良かった....僕は生きてたんだ....

壮絶な戦いであった。こんな思いは二度としたくないし、母にもさせたくない。ごめんね、お母さん。心の中で何度もそう繰り返した。