「まぎらわしい語の判別」
センター試験では常に出題されている「文法問題」。たいがいは二番に設定されています。
今回はこの特徴を踏まえた上で、まとめていきましょう。
1999 「けり」
2000 「れ」
2001 追試…敬語 本試…侍り
2002 「まいる」
2003 「聞こえ給ふ」の敬意の方向
2004 「る」
2005 本試…敬意の方向 追試…「に」
2006 不明
2007 「に」
2008 「れ」「に」「し」
2009 敬意の方向
2010 「なり」「なる」
2011 「れ」「ね」「せ」など
2012 「れ」「なり」「り」「ぬ」
2013 「ぬ」「に」
2014 「な」「れ」「て」「せ」
2015 敬意の方向
2016 「の」
2016年は格助詞「の」が現れて受験生を驚かせました。
頻出の判別でまだ出ていないのが「なむ」。
まあ、それはおいといて、頻出のものから先にいきます。
【「に」】
これは断然出ますね。文章読解にも関わってきます。
①連用形接続の「に」は完了
より実践的にすると、「にき」「にけり」「にたり」「にし」などは全部完了です。
②体言接続のときの「に」は断定
さらに実践的にすると、とにかく「にや」。これが断定であると覚えるべき。
③ただし「格助詞」の「…に」と訳せる「に」もある
④「にわかに」「おごそかに」など、形容動詞の一部は文脈判断。
⑤「死に」「往に」ならナ変連用
⑥副詞の一部は形容動詞ではないもの。「まことに」「げに」「よに」「さらに」「つひに」「すでに」ともに」など。
⑦あとに「、」がついたら接続助詞がほとんど
【「れ」の識別】
①サ変未然・四段已然の「り」…完了
②「◎◎に」という言葉があれば…受身
③主語が目上の人…尊敬
④下に打ち消す語句がある…可能
⑤「思う」「泣く」など、感情を示す言葉といっしょに使う…自発
【「なり」の判別】
①断定の助動詞…「体言」「連体形」接続
②伝聞・推定の助動詞…「終止形」接続
③形容動詞の活用語尾…「いと」をつけて不思議ではないか
④普通の動詞「なる」の活用
【敬意の方向】
尊敬語…「~は」「~が」の人に対する敬意(主語に対する敬意)
謙譲語…「~を」「~に」の人に対する敬意(客体に関する敬意)
※最高敬語に注意。「奏す」「啓す」は天皇・皇后・帝に対する敬意。
「例」(『竹取物語』より)
中将人々引き具して(宮中へ)帰り①(まゐり)て、かぐや姫を、え戦ひ止めずなりぬること、こまごまと②(奏す)。薬の壺に御文添へ、まゐらす。ひろげて御覧じて、いといたくあはれがらせたまひて、ものも③(きこしめさ)ず。御遊びなどもなかりけり。大臣・上達部を召して、「いづれの山か天に近き」と問はせたまふに、ある人奏す。「駿河の国にあなる山なむ、この都も近く、天も近く④(はべる)なる」と奏す。
まずそれが尊敬語が謙譲語が丁寧語かを判断する。
①S ②S ③S ④T
①は作者から帝への敬意。
②も作者から帝への敬意。(絶対敬語)
③も「聞こしめす」は尊敬なので、作者から帝への敬意。
④は「ある人」から「帝」への敬意。会話文の中の丁寧語は話し手から聞き手への敬意。