X Japan ギタリスト hide(享年33歳)


僕は彼が大好きだ。

ギタリストとして。

一人の人間として。


時の流れは早いものだ。

彼が亡くなった事をしったのは、当時働いていた職場にかかってきた友人からの電話からだった。

友人がラジオを聴いていて、速報が流れたらしく真っ先に僕に連絡をくれた。


本当にショックだった。

一週間ほどは仕事が手につかなかった。


彼の影響でギターを始め、
彼の影響でバンドを組み、
彼の影響で臓器提供意思表示カードの存在を知り、
彼の影響でいのちの大切さを考えるようになった。


中二でギターを始め、15歳でバンドを組み、21歳で臓器提供意思表示カードに記入し、命というものと真剣に向き合った。


臓器提供意思表示カード。

正直初めは、hideがしてるから俺も書いて持っとこ!くらいのノリでカードをもらいに行った。

こんなの適当に全部「提供する」に○をつけて、かいときゃいいや、と思っていた。

そして、現にどの条件にも当てはまるようにすべてに○をつけてカードを持っていた。


自己満足の偽善行為。



しかし、数日経ってふと改めてカードを読んでみた。

たった三つの項目だが読んでいるいるうちに読めば読むほど、良い様に記載した自分が恥ずかしくなってきた。


「俺はただのカッコつけ。ださっ。」


恥ずかしくなってそのカード、すぐに捨てました。

そして、新しいカードをもらいに行って再度書き直すことにした。

カードの裏を見て、ちゃんと記載しようと説明を読んだ。

1、私は脳死の判定に従い、脳死後、移植の為に○で囲んだ臓器を提供します。

心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、その他。


2、私は心臓が停止した死後、移植の為に○で囲んだ臓器を提供します。

腎臓、眼球(角膜)、膵臓、その他

3、私は、臓器を提供しません。


悩んだ。自分、両親、兄弟、親類が納得し、なんのわだかまりの無く素直な気持ちで提供できる方法、臓器はどれかを。


真剣に考え、僕は「2」を選択し、提供する臓器は腎臓、膵臓に○をつけた。

このカードは僕が命について真剣に考えるきっかけになった大切なカードだ。


このカードを持って約11年間、数回財布は買い換えてきたが、唯一このカードだけはどの財布の中にも入れてあった。もちろん、今の財布の中にも入れてあります。



僕は今年で33歳になる。

hideと同い年だ。

彼と年齢だけだか、肩を並べた事を嬉しく思う。

しかし、やはり哀しみも込み上げてくる。




hideさん、オレ、あなたと同い年になっちゃいます。
中二の時、Xの曲聞いて、ビデオ見て憧れてたあなたと同級生になっちゃいました。
最近、ギターは忙しくて手にして無いけど、今年をきっかけにまた手にしてみようかなと思ってます。あなたから教わったギターの魅力、音楽の楽しさ、音は心に届き、響く事、そしてなにより命の大切さ。
この歳になってもひとつも忘れてはいません。
これからも忘れることはありません。ずっと。
本当にありがとう。


いつまでもあなたは僕の永遠です。