前回に引き続き、意思表示。

今回は詐欺による契約について解説致します。

 

 

詐欺とは、その言葉の通り相手を騙す事です。

 

例えばAさんが甲土地を持っています。

 

そこにBさんが、

「その甲土地の周辺にお墓が出来るらしい。(詐欺)これから大暴落するが

今なら2000万で買い取ってあげるよ」と言ってきました。

 

 

Aさんは、「本来なら4000万の価値があるが、大暴落してしまったら大変だ。

2000万で買い取ってもらえる内の売ってしまおう」とBさんの言葉を信じてしまいました。

 

 

その後、契約が成立し土地を引き渡した後、AさんはBさんの言葉が嘘だと知りました。

 

この場合、AさんはBさんの詐欺を理由に契約を取り消す事が出来るでしょうか?

 

 

さて皆さんはどう思われるでしょうか。

 

結論。

 

取り消すことができます。

 

契約自体は有効ですが、取り消すことができます。

 

ここで注意が必要なのは、無効と取り消しは違うという事です。

 

前回の心裡留保においては例外に無効という言葉が使われました。

無効というのは、

【もともと効力を生じない】という事。

一方、今回の取り消しは、【一応、有効に成立したものを、取消して始めから無かったことにする】という事です。

 

 

この違いをしっかり理解する事が重要です。

 

では、このBがAに取り消される前に、善意無過失の第三者Cに転売してしまった場合、

Aは詐欺を理由にCから甲土地の返還を請求できるか。

 

 

結論、善意無過失の第三者には対抗できないとされています。

 

何故か。

この場合、騙されたという落ち度があるAより、善意無過失のBを保護する必要があるからです。確かに騙されたが、もっと調べればわかる事があったAは

善意無過失のCよりも落ち度があると判断されます。

 

このCが善意から善意有過失になったのも、2020年度改正によるものですので注意が必要です。今年の受験が数回めという方は、変更点してしっかり抑えていただきたいと思います。