今回も時効です。
今回は時効を阻止する行為について解説致します。
債権者からすれば助かる手段。
債務者からすればもう少しだったのに!
消滅時効とは
詳しくは過去記事にてアップしておりますので参考にしていただければと思います。
またYouTubeでも解説しております。
動画派の方はこちらから。
この消滅時効が成立したのにも関わらず猶予されてしまう場合があります。
時効の完成猶予
具体例にて見て行きましょう。
まずBがAから【明日返すから】と、お金を借りました。
Bさんは翌日になっても返さず、またAさんも何も行動しませんでした。
しばらく期間が立ち、そこでAさん。このままでは時効が成立してしまうという事で、
10年経過する寸前に裁判所に訴えを起こしました。
するとどうなるか。
Aさんが裁判所に訴えを起こした事により、時効に完成が猶予されます。
時効にストップはされませんが、期間が満了しても時効が完成されません。
さらにその裁判にて勝訴が確定するとどうなるか。
今度は時効の更新といって、進行していたはずの時効の期間がゼロに戻り、そこから再スタートとなります。
この様に時効の完成を猶予する行為を以下にまとめました。
それぞれの行為によって内容が異なります。
今回は①裁判上の請求と④の催告の違いについて具体的に見て行きます。
まず①裁判上の請求をする事により、上記でも解説した時効の完成が猶予されます。
さらに確定判決が下れば、時効の更新といって、期間がゼロからの再スタートとなります。
ここで、訴えの取り下げ等をした場合は、終了から6ヶ月間は時効の完成が猶予されますが、時効の更新はされません。
次に④催告の場合は、6ヶ月間の時効の完成の猶予が認められますが、時効の更新はありません。
さらに④催告の場合、再度の催告は時効の完成猶予の効力は有しないとされています。
つまり一度催告をし、6ヶ月間時効の完成が猶予され、そこからさらに催告をしたからといってもう6ヶ月は猶予されないという事です。
①裁判上の請求と④催告の効力の違いはここでしっかり認識しておきましょう。
次に時効の援用とは何か、具体的に見て行きましょう。
時効の援用
同じくBさんはAさんからお金を借り、10年間の時効期間が満了したとします。
時効が完成しこのお金はBさんのものになりました。
するとそこへAさんが再度現れ、
借金を返せと言ってきました。
時効は完成しています。
この時にBさんが取れる行動は2つです。
まず①借金は返さない。
時効は成立しているのだから返す必要はありません。
この行為を時効の援用と言います。
次に②借金を返す。
時効は成立したとはいえ、元々はAさんのお金です。
返す事もできます。
この行為を時効利益の放棄と言います。
この時効の援用が出来なくなる行為があります。
同じく時効が完成した後、BさんはAさんに利息を返還しました。
時効が完成したにも関わらず、返済(利息含め)をすると、Bさんはその後、
時効の援用が出来なくなります。
ではこの場合はどうでしょうか。
Bさんには保証人Cさんがいました。
Aさんは債権者。Bさんは主たる債務者。Cさんは保証人となります。
前回と同じ様に時効が完成したにも関わらずBさんはAさんに利息を支払いました。
本来、時効の完成後に返済をした場合、その後の時効の援用は出来なくなります。
ただし、この時の保証人は時効の援用が出来るとされています。
主たる債務者Bさんに、【おいおい、何をやっているんだ。時効が成立しているのだから私は時効の援用をする】と言える訳です。
所有権の起算日
時効により得た所有権の起算日はいつからでしょうか。
結論、所有権は期間の起算日に遡ります。
上記の事例でいうと、Aさんの土地をBさん(善意無過失)が占有しました。
そこから10年が経過し取得時効が成立した場合、Bさんの土地の所有権は占有を開始した
起算日まで遡るという訳です。
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