「現地調査を北朝鮮嫌う」 人道援助「拒否」の見方 | trycomp2のブログ
【ソウル=高槻忠尚】北朝鮮が国連などに対し、これまで受け入れてきた人道援助の年内打ち切りと開発援助への転換を要求し、真意を巡って関係者の間で憶測を呼んでいる。「最悪の食糧難を脱したから」が表向きの理由だが、人道援助に伴って援助元が北朝鮮国内で実施してきた厳しいモニタリング(現地調査)を嫌がった、との見方が有力だ。長期的な農業基盤整備につながる開発援助の方が得策、との計算もあるようだ。
●資本主義の流入恐れ
国連世界食糧計画(WFP)北京事務所によると、北朝鮮は8月下旬、人道援助から開発援助に転換して欲しいとの意向を伝えてきた。平壌事務所の閉鎖要求は今のところないという。また、今月21日にはアナン国連事務総長と会談した崔守憲(チェスホン)外務次官が同様の内容を要求し「基盤整備やそれに必要な設備・施設などを支援する開発援助を受け入れる」との意向を示していた。
人道援助「拒否」の理由として北朝鮮が説明するのは「食糧事情の改善」(崔次官)だ。北朝鮮は90年代半ば、水害や干ばつに見舞われ、食糧事情が悪化。多数の餓死者を出したといわれる。
だが、00年代に入ると農業基盤改善が進み、天候に恵まれたことも重なって、作柄は改善。韓国の統計では、北朝鮮の食糧生産は95年に345万トンまで落ち込んだが、04年には431万トンまで回復した。
厳しい時の支えだったWFPの人道援助には、受け入れた場合モニタリングが義務づけられる。援助が届いているかどうかを調べるため、外国人スタッフが北朝鮮各地をくまなく回って視察する。
これに対して、北朝鮮側には「資本主義の風が流入するのでは」との懸念が根強い。「北朝鮮は、厳しいモニタリングが伴う人道支援より、開発援助を得て長期的な視野でインフラを整備した方がいいと判断したのでは」(韓国政府筋)との見方が一般的だ。
また、北朝鮮の飢餓に対する国際社会のかつての関心が薄れた結果、国際社会の寄付に頼るWFPの支援は、01年の約90万トンをピークに、昨年は約30万トンまで減少。受け取り分が減っていることも影響しているとみられる。
このほか、10月に朝鮮労働党創建60周年を迎える北朝鮮は、経済状態の改善を内外にアピールする狙いを持っているのでは、との見方もある。中国や韓国が近年北朝鮮に対する援助を拡大していることを指摘する声もある。
韓国統一省などによると、北朝鮮は毎年100万トン規模で食糧が不足する状態で、支援関係者は「人道援助がなくなれば食糧事情は確実に悪化する」と懸念する。モニタリングについても、WFP北京事務所は「開発援助だからといって監視が甘くなるとは限らない。かえって監視のレベルが高まることもある」としており、必ずしも北朝鮮の思惑通りに進むとは限らないようだ。
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◆キーワード
<北朝鮮への食糧援助> 国連世界食糧計画(WFP)による援助が95年以降毎年続けられている。WFPによると、一部の地域では北朝鮮側がモニタリングを認めていないため、配給も実現していない。
asahi.com :朝日新聞今日の朝刊-国際面
