北テロ指定解除 「当面ない」政府に楽観論
ブッシュ米大統領が福田康夫首相との会談で、北朝鮮へのテロ支援国家指定を解除する際の3要件を示したことで、政府内には「北は3要件を満たしておらず、当面は解除はない」(外務省幹部)と楽観論が生まれている。ただ、「6カ国協議米首席代表のヒル国務次官補は、もう北に指定解除を約束しているのではないか」(官房長官経験者)との疑念は払拭(ふっしょく)されていない。楽観している間に日本だけがかやの外に置かれる可能性もあり、情勢は予断を許さない。
大統領が会談で、指定解除しないと明言を避けたにもかかわらず、政府内に危機感が薄い背景には、北朝鮮が「中東情勢のカギを握る国」(外交筋)であるシリアで、核関連施設建設を支援・関与しているとの疑惑が浮上していることが大きい。これは、大統領が挙げた条件の一つである「北による核の不拡散」に明らかに反することになるからだ。
外務省筋は「米国は北に対する10倍の関心を中東に向けている。シリアで北による核問題が出ているときに、指定解除に動くはずがない」と指摘する。ヒル氏とその上司のライス国務長官が北に融和的な言動をとっているのは事実だが、「米政府、議会はそんな情勢ではない」(同)という。
とはいえ、シリアに対する北の関与が立証されず、核施設の無能力化などが進んだ場合は「次のステップに入るのだから、米国としても何もしないわけにはいかない」(別の外務省幹部)というケースも想定される。首相が会談で指定解除反対を表明しなかったのも、「相手との『あうんの呼吸』を重んじ、細かく詰めない福田氏のスタイル」(政府筋)と問題視しない見方もあるが、「指定解除は既定路線だからだろう」(自民党筋)との冷ややかな声もある。
一方、大統領は4月の安倍晋三前首相との会談では、安倍氏が指定解除を行わないよう強く求めたのに対し、「ライスが(指定解除方針に関し)いろいろ言っても、あなたと私で決めればいい。私に任せてくれ。安倍を困らせることはしない」と明言していた。福田首相の対応が物足りなさを感じさせるのは否めず、拉致被害者家族らからも不満の声が出ている。
北テロ指定解除 「当面ない」政府に楽観論(産経新聞) - Yahoo!ニュース