「拉致」初の舞台化 捜索や署名活動…家族を描く 吹上浜事件テーマに | trycomp2のブログ

「拉致」初の舞台化 捜索や署名活動…家族を描く 吹上浜事件テーマに

 1978年8月に鹿児島県の吹上浜で起きた市川修一さん=当時(23)、増元るみ子さん=同(24)=拉致事件が、26‐29日、東京・下北沢で舞台になる。プロデュースするのは学生時代を鹿児島で過ごした女優で脚本家の若宮優子さん(41)=東京都世田谷区。北朝鮮による拉致事件の舞台化は全国初という。

■早期救出の願い込め/鹿児島に縁の女優が企画

 タイトルは「たまてばこ、ほら」。早期救出の願いを込め、長い時を経て帰郷した「浦島太郎」の昔話から付けた。肉親との別れがテーマの3本のフィクションと、事件を再現した実話2本のオムニバス形式だ。実話は、2人を必死に捜索したり、署名活動で全国を回ったりする家族の姿を描く。脚本、演出、主演を若宮さんがこなす。

 若宮さんは宮崎県出身で鹿児島大大学院修了。舞台や映画で活躍し、脚本を担当したラジオドラマ「しづのおだまき」は2000年度の文化庁芸術祭参加作品に選ばれた。

 拉致事件を取り上げたのは、友人で鹿児島在住の歌手、マーシーさん(50)の「浜木綿(はまゆう)の花」を聴いたのがきっかけだ。マーシーさんは2人が拉致された当日、吹上浜でキャンプをしており、同じ場所にいたことに「自責の念を感じて」(マーシーさん)曲を書いた。若宮さんは、2人に「プリーズ・ビリーブ・ミー(自分を信じて救出を待っていて)」と呼び掛ける歌詞に感動、「私にできるのは芝居しかない」と立ち上がった。

 脚本作りでは、2人の家族を丹念に取材した。芝居のクライマックスでは、増元さんの姉平野フミ子さん(56)が、増元さんにあてた手紙を読む声が録音で流れる。平野さんは「若宮さんの真剣さに、この人になら思いを託せると感じた。芝居を通じて、拉致事件の理不尽さや私たちの悲しみを多くの人に分かってほしい」と話す。

 東京都世田谷区内のけいこ場では連日、深夜までけいこが続く。若宮さんは「手ごわい題材だが、救出への祈りを全身で表現する。とにかく見てほしい」と語った。

 公演は計5回、同区北沢2丁目の駅前劇場。前売り3500円、当日3800円。問い合わせは楽友社=03(3443)9760。九州は鹿児島公演の計画がある。


=2006/12/25付 西日本新聞朝刊=
2006年12月25日00時00分
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