北朝鮮制裁「ジブラルタル」が“抜け穴”に 制裁権で確執
このままでは北朝鮮の金正日総書記(64)がジブラルタル経由で、高級ブランデーや高級腕時計などのぜいたく品を入手してしまう…。
北朝鮮の核実験に対する国連制裁決議に思わぬ“抜け道”があった。日本や米国が北朝鮮へのぜいたく品禁輸措置を実施する中、地中海の入り口にある自由貿易港、英領ジブラルタルの帰属を求めるスペインが「ジブラルタルに制裁を発動する権限はない」と主張し、欧州連合(EU)内の禁輸実施が遅れているのだ。地中海の要衝をめぐる英国とスペインの確執が思わぬ形で金総書記を利している。
北朝鮮へのぜいたく品禁輸は、国連安全保障理事会が昨年10月に制裁の一部として採択した。北朝鮮では一般住民が飢えていようが、金総書記の身の回りには高級品がそろい、さらに、ぜいたく品が側近や軍部の忠誠心を得るために利用されているとされるためだ。
制裁決議の採択を受けて、米国や日本など各国は、高級時計や携帯プレーヤーのiPod、マグロなどのぜいたく品の北朝鮮への供与や販売、移転の阻止を措置を講じた。こうした中、対応が遅れているのが欧州連合(EU)。その障害となっているのが自由貿易港であるジブラルタルの扱いだ。
EUがジブラルタルに制裁発動の権限を認めたことに対し、スペイン外務省が「ジブラルタルに外交権はない。制裁の発動権限を有するのは英本国だけで十分だ」と反発。ジブラルタルに制裁権限を認めないよう求めたのだ。
英国はジブラルタルが制裁の発動権限を持つのは当然としているが、ジブラルタルの帰属を求めるスペイン政府としてはジブラルタルの権限がさらに強まれば、ますます英領として独立色を強めるとの懸念がある。
実際、ジブラルタル政府はスペインへの帰属を拒否しており、昨年11月に行った住民投票では、英領にとどまるべきだとする回答が多数を占め、外交や防衛で自治権強化を望む動きが表面化している。
昨年9月に英国とスペインが調印した協定では、ジブラルタルを発着する民間機のスペイン領空通過が認められ、スペインへの移動も手続きが簡素化されたが、帰属問題の結論は先送りされたままだ。 (ロンドン 蔭山実)
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