【コラム】苦境に立たされたヒル次官補(下)
だがここで問題となったのは、ヒル次官補が金桂寛次官にBDA資金の凍結解除に加え、送金も行うと約束したことだ。これが禍根を残すことになるとはヒル次官補本人も想像できなかったようだ。ヒル次官補は私的な席で、「金融問題がこれほど複雑なものだとは夢にも思わなかった」とこぼしたという。
国務省の関係者らは「BDA問題の解決前に北朝鮮が国際原子力機関(IAEA)査察団と協議し、寧辺の原子炉を暫定的に稼働中断する措置を下すだけでも、針のむしろに座っているヒル次官補が発言力を得られる」と述べ、残念がっている。これは、北朝鮮が北京合意を履行する意志だけでも見せて欲しいという声だ。
ここまでを総合して見ると、北朝鮮が巧みな外交を展開していると評価することもできる。なぜならば、北朝鮮はBDA資金の凍結解除という「成果」を得た一方で、差し出したものは何1つないからだ。
しかし、これは視野の狭い見方だ。ブッシュ政権で穏健派として知られるヒル次官補が影響力をなくせば、強硬派が発言力を増す可能性が高い。そうなれば強硬派は、「BDA問題は北朝鮮自らが招いた問題であるため、これ以上は取り上げない。それよりも北京合意を速やかに履行せよ」と圧力を加えるだろう。北朝鮮がこの要求を受け入れない場合、6カ国協議は再び決裂する。そして、米国は別途の金融制裁に乗り出すだろう。ホワイトハウスの主人が変わったとしても、対北政策に大きな変化はないというのも周知の事実だ。
従って金正日(キム・ジョンイル)総書記は、BDA問題とは別途に北京合意を少しでも履行すべきだ。穏健派のヒル次官補を救い、6カ国協議を救うことは、韓民族(朝鮮民族)だけでなく、北朝鮮のためにも最善の選択であるからだ。
ワシントン=崔宇翛(チェ・ウソク)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報JNS
【コラム】苦境に立たされたヒル次官補(下) | Chosun Online | 朝鮮日報