狙い通り?北朝鮮の主張に沿う内容に 金英男さん会見 | trycomp2のブログ

狙い通り?北朝鮮の主張に沿う内容に 金英男さん会見

 金英男(キム・ヨンナム)さんは29日の記者会見で、自身や横田めぐみさんの拉致の経緯、ヘギョンさんとの関係など、関心を集める点をほぼ網羅し、予想通り北朝鮮の主張に沿った内容に終始した。南北関係筋は会見について「肉親との再会を果たした本人の言葉は見る人をそれなりに引き込む。北朝鮮はそこまで計算したはずだ」と指摘する。

 記者会見は、英男さんが母の崔桂月(チェ・ゲウォル)さんと再会した28日に、会場の北朝鮮・金剛山で北朝鮮当局者から韓国側関係者に急に言い渡された。今回の再会を、約100組ずつが対面する「南北離散家族再会事業の一環」と位置づけている当の北朝鮮が、一家族にだけ記者会見を設定するのは極めて異例だ。この機会を利用して、日本に向けて北朝鮮側の反発を訴え、韓国に対しては民族共助の精神に訴えようとした。「情」を利用して日韓の分断を図ったとも言える。

 北朝鮮当局は韓国取材団に事前に質問を提出するように要求し、英男さんの答えもよどみなかった。冒頭ではまず「家族が会えるようにしてくれた南北関係者に感謝する」と語った。昔のことを語る時、満面の笑みで公園の地名を挙げたり、「故郷を思わない人がどこにいますか」と韓国人記者に呼びかけたりし、いつか故郷の全羅道を訪ねたいと述べた。

 一方で、拉致問題になると口ぶりは一転し、めぐみさんの死亡の真偽や遺骨問題について「私やめぐみに対する侮辱、愚弄(ぐろう)、人権蹂躙(じゅうりん)だ」と口を極めて非難した。

 「拉致の否定」と「北朝鮮の体制礼賛」は、離散家族の再会事業に参加する韓国の拉致被害者の口から、共通して発せられるメッセージで、英男さんも記者会見で強調した。

 韓国の拉致被害者が、公の場で拉致を否定するのは珍しくない。69年に大韓航空機が乗っ取られ乗客ら約50人ごと拉致された事件では、直後に操縦士が記者会見を通じて「自ら北に入った」と発表した。

 韓国の拉致被害者は、漁民を中心に500人近くに上る。英男さんと同じ高校生当時に拉致された人も5人いる。

 だが、北朝鮮は「南北間に拉致問題は存在しない」と主張し続けており、そのため韓国政府は離散家族問題の枠内で、再会を実現させるしかないのが現状だ。韓国側は南北閣僚級会談などを通じて送還を要求しているが、1人の解放・送還も実現していない。

 当初は英男さんは最初の送還ケースになるのでは、と期待の声もあったが、肉親との28年ぶりの対面という感激の光景と英男さんの「独演」だけを残して、核心的な課題は先送りになりそうだ。
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