日朝交渉きょう再開 溝埋まるか | trycomp2のブログ

日朝両政府間の包括並行協議が4日、北京で始まる。(1)拉致(2)核・ミサイルなど安全保障(3)「過去の清算」を含む国交正常化の3分野を並行させる初の形式だが、双方の思惑は食い違う。日本側は国交正常化論議に応じることで北朝鮮を引きつけながら、拉致問題の進展を目指す。一方、マカオの銀行を舞台にした米国の「制裁」に反発する北朝鮮側は、対米関係への効果をはかりながら協議に臨むとみられる。
●日本、経済支援テコに迫る
国交正常化交渉は、02年10月以来で13回目。日本側は、北朝鮮が「過去の清算」で、日本の植民地時代に受けた損害の補償を求めてくる可能性が強いとみている。日本は小泉首相が初訪朝した02年9月の日朝平壌宣言に基づき請求権は相互に放棄したうえで、無償資金協力や長期借款など「経済協力方式」をとることを確認したい考えだ。
65年の韓国との国交正常化時は、この方式だった。かつて植民地支配した朝鮮半島の南北で対応に差をつければ、韓国と北朝鮮のどちらかから不満が出るのは必至だ。このため、北朝鮮側の補償要求には応じられないという姿勢は崩さない。
北朝鮮側も正常化が実現すれば、日本から経済支援が見込めるだけに交渉には積極的だ。9月に迫った小泉首相の自民党総裁としての任期切れを意識している、との見方も日本政府内には強い。
日本側はこうした状況をテコに、正常化の前提としている拉致問題の解決に向けて、北朝鮮に対応を迫る方針だ。(1)生存者の帰国(2)真相の究明(3)容疑者の引き渡しを重ねて要求するほか、政府認定以外で拉致の疑いがある特定失踪(しっそう)者の情報提供も求めるとしている。
だが、現時点で日本政府内では、大きな進展は期待しにくいとの見方が主流だ。北朝鮮が横田めぐみさんのものだと主張する「遺骨」をめぐり、今回の協議では、専門家の協議を行うかどうか話し合われる可能性があるが、「日本の鑑定結果は信頼性が担保されている」としている日本側との対立が解けるメドは立っていない。
日本側は、拉致を実行したとされる辛光洙(シングァンス)、金世鎬(キムセホ)、よど号ハイジャック犯でもある魚本(旧姓・安部)公博の3容疑者の身柄の引き渡しを求める。とくに辛容疑者は地村保志さんと富貴恵さん夫妻や横田めぐみさんの拉致に関与したとの証言が新たに得られ、かぎを握るとみられる。ただ、外務省幹部は「引き渡しに応じる可能性は極めて低い」とみている。(北京=倉重奈苗)
●北朝鮮、対米効果を強く意識
北朝鮮が、米国との関係で日朝協議に抱く思惑は二つある。相互不信の解けない米朝間の橋渡し役を日本に担ってもらいたいという期待。もう一つは日本との対話を続けることで日米の足並みに微妙な乱れを生じさせ、米国の孤立化を際立たせたいとの思いだ。
北朝鮮は、米国との関係が行き詰まってしばらくすると日朝対話に応じるという傾向がある。02年9月の小泉首相の平壌訪問実現には、「悪の枢軸」と名指しした米国の強硬姿勢も影響したといわれる。米政府はその後、北朝鮮のウラン濃縮をめぐって批判を強めた。米国には日増しに強硬論が広がり、マカオを舞台とした金融制裁に象徴される米国の「対北敵視政策」が、北朝鮮の目下の懸案となった。そんななか、日朝国交正常化交渉は開かれる。
最近の米政府からは、北朝鮮に妥協しないという意思を明確にした発言が相次ぐ。ブッシュ大統領は1月31日の一般教書演説で北朝鮮を「非民主国家」と名指しした。韓国政府関係者は「北は改めて恐怖心を感じたに違いない。ブッシュ大統領のいう民主主義や自由は、金正日(キムジョンイル)体制の転換にほかならない」と指摘する。
一方、日米の「離間策」では、米政府も不安がないわけではない。「日朝の二国間の取り組みを完全に支持する」(米国務省筋)というのが表向きの立場だが、米政府当局者は、こう話す。「北朝鮮が日本に何かを与え、日本が6者協議での姿勢を軟化させる可能性はある」
北朝鮮とすれば、米国以外の6者協議メンバーとはすべて対話できているという事実が重要で、日朝対話の継続のためには、体制維持などに影響しない範囲の譲歩を小出しにしてくることも考えられる。(北京=高槻忠尚、ワシントン=鵜飼啓)
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