「よど号」犯の妻 北朝鮮の国家的犯罪に加担した(6月15日付・読売社説) | trycomp2のブログ

「よど号」犯の妻 北朝鮮の国家的犯罪に加担した(6月15日付・読売社説)

 欧州で消息を絶って27年にして、ようやく捜査が進展へ動き出した。

 スペインを旅行中の石岡亨さんと語学留学していた松木薫さんが1980年に拉致された事件で、警視庁が「よど号」乗っ取り犯の2人の妻の逮捕状を取った。北朝鮮に在住する森順子(よりこ)、若林佐喜子の両容疑者で、結婚目的誘拐容疑である。

 よど号犯の9人が北朝鮮に亡命したのは、70年のことだ。その後は、北朝鮮の国家的犯罪や不正工作に加担してきたとみられている。その実態をさらに追及していく必要がある。

 石岡さんと松木さんは2人から「ウィーンに行こう」などと持ち掛けられ、北朝鮮に拉致されたらしい。ウィーンは当時、北朝鮮の西側工作の拠点となっており、工作員らも暗躍していた。

 英国に留学していた有本恵子さんが83年に拉致された事件では、よど号犯の魚本公博容疑者に逮捕状が出ている。この時も、よど号犯の元妻が有本さんに接触し、おびき出す役を果たしていた。

 よど号犯は70年代後半、当時の金日成主席から「代を継いで革命を行え」と指示を受けたと言われる。結婚して子孫を残し、将来は日本で革命を起こす。そのための「日本人獲得」を目的に、若い男女を標的とした。

 何とも荒唐無稽(むけい)な発想だが、行動は冷酷極まりない。その先兵として、よど号犯の妻も動員された。

 北朝鮮は、石岡さんと有本さんは結婚して1児をもうけたが、88年、暖房用の石炭ガス中毒で家族全員が死亡したと日本側に説明している。松木さんは96年に交通事故で死亡したという。

 そのまま信じるわけにはいかない。政府は、他の帰国していない拉致被害者と併せ、真相の究明などを引き続き求めていくべきだ。

 よど号犯も逮捕者や死亡者がいて、北朝鮮に残るのは4人とみられている。妻も次々と帰国し、森、若林の両容疑者がいるだけだ。彼らは日本政府との「無罪合意帰国」を主張してきたが、こんな身勝手な論理が通るはずがない。

 米国は北朝鮮をテロ支援国家に指定している。ハイジャック犯であるよど号犯をかくまっていることも理由とされてきた。よど号犯の身柄の扱いは、北朝鮮にすれば、テロ支援国家の指定解除のための対米カードともなっている。

 今年2月の6か国協議で、米国は「指定解除の作業を開始する」と明言している。だが、日本としては、拉致という問題全体の解決なしでは、とても了承できる話ではない。
(2007年6月15日1時52分 読売新聞)

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