金融制裁:米国、事実上の制裁解除を目指した苦肉の策
【ワシントン吉田弘之】米財務省が14日、発表したマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)に対する最終措置は、北朝鮮の非合法経済活動を監視し封じ込める一方で、核問題前進のためBDAに凍結されている北朝鮮関連口座を解除することで事実上の制裁解除を目指した苦肉の策と言える。
北朝鮮金融制裁をめぐる焦点は二つあった。6カ国協議出席の条件として北朝鮮が強く主張していたBDAの北朝鮮関連口座約2500万ドルの解除問題の扱いと、米ドル札偽造や麻薬密売、大量破壊兵器売却など米国の経済、国家安全保障にかかわる北朝鮮の非合法経済活動の阻止だ。
米国は05年9月、愛国者法(反テロ法)に基づいてBDAを「主要な資金洗浄懸念先」に指定し、同行と米金融機関との取引を暫定的に禁止。北朝鮮が敵視政策だと反発して6カ国協議のボイコットを続ける中、米国は「法執行」の問題だと突っぱねる事態が続いた。
だが米政権内部も揺れていた。リービー財務次官は昨年9月の講演で「北朝鮮の合法、違法資金の境界はほとんど見えない」と語り、世界の金融機関に北朝鮮との取引の危険性を喚起していく方針を強調していた。しかし、ライス国務長官は昨年12月、金融制裁問題への対応について「今後1、2回の協議の行方を見て総合的に判断したい」と述べるなど、米国の経済、安全保障権益を守りたい財務省と核問題の解決を急ぐ国務省の間で亀裂が表面化していた。
結局、財務省は在米金融機関にBDAとの取引を正式に禁止して原則を貫き、凍結口座の解除については最終的にマカオ当局に判断を委ねることで決着を図った。
凍結口座の解除について、今後はマカオ当局の判断に焦点が移るが、「一国二制度」下にあるマカオ当局に対する中国の影響力も無視できない。マカオ当局はBDAの清算も視野に入れているとされ、その場合、北朝鮮の合法資金は返還し、資金洗浄などに使われた口座の資金は没収する可能性もある。
凍結が解除される資金が北朝鮮の期待を下回っても、米側は「マカオ当局の判断だ」と突っぱねることが予想され、核問題解決に向けた火種となる可能性は少なくない。
毎日新聞 2007年3月15日 12時05分 (最終更新時間 3月15日 13時41分)
金融制裁:米国、事実上の制裁解除を目指した苦肉の策-北朝鮮の動き:MSN毎日インタラクティブ