拉致被害者家族会、激動と膠着の10年 世論喚起「取り戻す」 | trycomp2のブログ

拉致被害者家族会、激動と膠着の10年 世論喚起「取り戻す」

 拉致被害者の「家族会」が25日で結成から10年を迎えるのを前に、家族らは23日、それぞれの地元などで記者会見した。同会代表で、横田めぐみさん=拉致当時(13)=の父、滋さん(74)は「一日も早く結果が欲しい」と切実な声をあげた。体力の衰えから代表を退く意向をにじませたが、肉親を取り戻す活動を続けることに変わりはないことも強調した。長い時間が流れた。激動と膠着(こうちゃく)、期待と落胆。この繰り返しだった10年。闘いはなお続く。(住井亨介)

 同席した母、早紀江さん(71)は家族会結成会見で着ていた緑のチェック柄ジャケットで会見に臨み、「平和な日本で拉致問題が投げかけたことには大きな意味がある。小さな力ですが、みなさんに支えられて頑張っていきたい」。増元るみ子さん=同(24)=の弟、照明さん(51)も「10年はあまりに長すぎた。国民の支援を」と呼びかけた。

 この日に先立ち、横田夫妻は産経新聞の取材に応じた。

 めぐみさんの拉致が指摘され、東京に家族らが初めて集まったあの日。互いの境遇を語り涙を流した。「一緒なんだと思った。すぐになじんで、『お互い頑張りましょう』って」。早紀江さんはそう振り返った。

 当初は逆風にさらされた。外務省幹部には「たった10人のことで日朝国交正常化が止まっていいのか」と陰口をたたかれた。署名活動では手渡そうとしたビラをはたき落とされたこともあったが、地道に活動するしかなかった。

 結成から5年後、「拉致はでっちあげ」としていた北朝鮮の金正日総書記が拉致を認める。「疑惑」は「事実」に。被害者5人が帰国したが、めぐみさんをはじめとする多くの被害者は「死亡」「入国は確認していない」とされた。

 滋さんは「それから事実上、何も変化がない」と話すが、「変わってきたのは世論。解決への機運が非常に高まった」とも感じている。横田夫妻は全都道府県で、延べ1000回以上の講演をこなし、海外の要人への訴え、めぐみさんの拉致事件をテーマにした映画やCDの発表、写真展の企画など休むひまはない。スケジュール帳は真っ黒に埋め尽くされている。

 高齢の身にはこたえる。滋さんは一昨年の12月、4万人に1人という難病で入院した。今でも検査数値の1つが正常に戻らない。「そろそろ代表は引退したい、しようとは思うんですけれど…」

 齢(よわい)を重ね、体力的な衰えが出始めていることや、代表に相当の負担がかかっていることは、ほかの家族も理解している。それでも「名誉代表に」「負担を軽減するために共同代表に」といった声もあがる。家族会の決めごとは全会一致が原則。滋さんが思いを正式に伝えたとき、他の家族はどう考えるか。

 早紀江さんも昨年の訪米から帰国後、肩を痛め、寝ているのもつらいが、「(拉致は)ひとつ間違えば、誰が被害者だったか分からない問題。誰もが同じ思いで問題を見てほしい」と訴える。「(めぐみさんを取り戻しに)行けるのなら行きたい。どうなってもいい。でも、そういう思いの政治家がいない」とも。11月になったら、めぐみさんが拉致されて30年を迎えてしまう。

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≪国民が目覚めた/早く喜び合って解散したい≫

 田口八重子さんの兄、飯塚繁雄さん 「あまりに長い間、われわれが活動していることが本当に良かったのか。政府には国際社会に向けて、今までの借りを返す意味でもこの問題を徹底的に追及してほしい」

 蓮池薫さんの兄、透さん 「家族会をつくって良かったのは、つらい思いを共有して癒やされたこと。だが、5人が帰ってきただけで、(状況が)変わっていないのがもどかしい。会の目的は一つ。早くみんな帰ってきて、喜び合って家族会を解散したい」

 有本恵子さんの母、嘉代子さん 「拉致問題で国民が目覚めたような気がする。日本がおかしな方向に進んでいたのが、国民が立ち止まって考えてくれた気がする。多くの方が『頑張ってください』『応援しています』と声をかけてくれるのが一番ありがたい」

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