北のテロ支援国家指定解除「待った」 駐日大使、大統領へ直言
■融和路線…米に波紋
【ワシントン=有元隆志】北朝鮮へのテロ支援国家指定解除をめぐる米政府内の意見対立が表面化した。シーファー米駐日大使が24日、ブッシュ大統領に公電を送り、指定を解除しないよう求めるとともに、北朝鮮との交渉責任者のヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)の姿勢に不満を示したためだ。ブッシュ政権は早ければ年内にも指定解除に踏み切るとみられていたが、大統領に最も近いとされる大使の“直言”で、対北融和の流れに変化が生じる可能性もありそうだ。
米FOXテレビによると、大統領に公電を送ったのは、横田めぐみさん=当時(13)=が北朝鮮工作員に連れ去られた現場を訪れるなど、拉致問題に関心を寄せる同大使として、日本政府の要請にもかかわらず指定解除が米政府内で「既定路線」であるかのようになっていることに懸念を示したようだ。
駐日大使である自分に正確な情報が伝えられないことへのいらだちもありそうだ。公電のなかで、ヒル次官補に解除を約束したのかをただしたのに回答がないと、不信感をあらわにしたという。
報道について、ジョンドロー国家安全保障会議(NSC)報道官は本紙に、「大使の仕事ぶりを大統領は高く評価している」とコメント。大使も「大統領との連絡は秘密で、それに関して話すことはない」と回答した。
一方、ライス国務長官は「日米関係を犠牲にして米朝関係を進める考えはない」と明言するが、ヒル次官補を基本的に支持している。
しかし、米議会調査局は25日までにまとめた北朝鮮に関する報告書で、人権問題などでの進展なしには関係正常化に応じないとしてきたブッシュ政権が、核問題をめぐる6カ国協議の2月合意以降、人権問題などを「核の後に解決すべき問題」と位置付けたと分析。特にヒル次官補はそうした姿勢が強いとした。
北朝鮮問題に詳しい米マンスフィールド財団のゴードン・フレーク所長は、このまま指定解除されたら日米関係が損なわれると警鐘を鳴らす。
同所長は北朝鮮とシリアの核開発協力疑惑が議会などで深刻に受け止められた場合「米政府が解除しない可能性はある」との見方を示した。チェイニー副大統領周辺では拡散問題の浮上を受けて、北朝鮮との交渉を急ぐことへの慎重論が強まっているという。
フレーク所長は最終的にはブッシュ大統領の判断にかかっているとみているが、それだけに同じテキサス育ちで、大リーグ球団を共同経営するなど、大統領とは旧知の仲のうえ「大統領の寝室に直接電話ができる」(米外交筋)とされるシーファー大使の意見が、大統領の対応に影響を与える可能性はありそうだ。
同所長は日本も解除に反対するだけでなく、11月中旬の日米首脳会談で代替戦略を提示することが必要だと指摘した。
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