産経 18(2006)年4月29日[土] | trycomp2のブログ

産経 18(2006)年4月29日[土]

 日本がこれほど鮮やかな“外交力”を示したことがあっただろうか。しゃんと背筋を伸ばし、言うべき主張に過不足がなく、相手の心をぐっとつかんで離さない。米国議会で毅然(きぜん)と語る日本人女性に、多くの米国人が共感を覚えたに違いない。

 ▼二十九年前、十三歳の長女を北朝鮮に拉致された母、横田早紀江さん(70)のことだ。過去の取材でも、これほど説得力ある証言者を小欄は知らない。彼女のように気品の中に迫力をもつ外交官がいたら、戦後日本の地位も違っていたのではないかと思う。

 ▼北朝鮮の将軍様はいまになって、「とんでもない女性を敵に回してしまった」と後悔しているだろう。悲しいことにその母の強さをつくったのは、ほかならぬ金正日総書記本人ではないか。平凡で幸せな家庭から愛(まな)娘を奪われ、北で助けを待つ彼女を思う母を強くした。

 ▼「四半世紀を超え、どの親も老齢のため、残された時間は多くありません」。早紀江さんの証言は感性に訴えるだけではない。「全世界の自由を愛する国民の総意で、『怒っている』と北朝鮮に態度を示していただきたい」。ダメな為政者たちに「時代のけじめ」を迫っていた。

 ▼スミス議員は「サミットはその絶好の機会だ」とブッシュ政権の尻をたたいた。新潟市内の拉致の現場を視察したシーファー米大使が、大統領をも動かした。早紀江さんらと大統領との面会ほど力づけられるものはない。

 ▼北が拉致を解決せず、ミサイル開発をやめないなら日朝首脳が合意した「平壌宣言」を見直せばよい。警察は北を支援する団体のどんな法律違反も見逃すな。「すべての被害者を助け出し、これからの人生を自由の地で過ごさせてやりたい」。早紀江さんのことばが胸を刺す。

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Sankei Web 産経朝刊 産経抄(04/29 05:00)