【コラム】拙速な米朝合意の落とし穴 | trycomp2のブログ

【コラム】拙速な米朝合意の落とし穴

 北朝鮮の各問題に関する6カ国協議が、今月8日から北京で再開される。北朝鮮の核問題は、韓国の安全保障や存立を左右する事案であるということを認めるのであれば、そこには見過ごすことのできないいくつかの重要な問題が隠されている。それは韓国が問題の解決を他国の手に委ね、ただお客さんのように傍観していてよい問題ではないというわけだ。

 まず第一の問題は、北朝鮮が核を放棄する意思を持っているのか、いまだに不透明だという点だ。北朝鮮は本当に核開発計画を全面的に放棄する意思があるのだろうか。これについて、韓国はいかなる証拠も持っていない。北朝鮮は核の放棄が「金日成(キム・イルソン)の遺訓」だと主張しているが、だとすればなぜ、金日成の死後10年余りが経つ今に至るまで、核を放棄するどころか核開発に執着し、核実験まで行って核武装の道を歩み続けているのだろうか。

 今回、北朝鮮が6カ国協議に出てくる本当の目的は、米国の北朝鮮に対する金融制裁を解除させようということではないかと思われる。米国は金融制裁を北朝鮮の核問題を解決するための「てこ」と考えているが、北朝鮮は逆に核開発を金融制裁解決の手段として利用しているのだ。6カ国協議の行方については時間をかけて見守っていかなければならないが、現時点ではっきり言えることは、北朝鮮が核を放棄する意思が全くないのであれば、これまでのすべての努力は水の泡になるということだ。

 第二の問題は、6カ国協議でどのような合意がなされるかということだ。米国国務省の次期副長官に内定しているジョン・ネグロポンテ国家情報長官は、上院で行われた人事聴聞会で、今回の 6カ国協議の目標が「北朝鮮の核関連施設の凍結」であると述べた。今さら言うまでもなく、米国の終始一貫した姿勢は「完全かつ検証可能で、不可逆的な方法による全ての核開発計画の破棄(いわゆる“CVID”の原則)」であるはずだ。ところがいつからか、米国の当局者の口からこの「CVID」という言葉が出なくなってしまった。

 米国はむしろ、自らがさんざん批判してきた1994年の「ジュネーブ合意」に後戻りしようとしているのだ。北朝鮮の核施設の「凍結」と、軽水炉の建設を交換条件にしたジュネーブ合意は結局、北朝鮮に12年間も核開発のための時間稼ぎをさせただけだった。しかし米国は、いかなる論理的な説明もなく、自らその轍を踏もうとしているのだ。

 核施設を「凍結」さえすれば、それ以上核兵器を製造、備蓄できないだろうと考えているとすれば、それもまた馬鹿げた話だ。北朝鮮がウラン濃縮計画を持っていると主張してきた張本人はまさに米国だ。寧辺のプルトニウム生産施設の稼動を中止させたとしても、北朝鮮が隠れてウラン濃縮を続け、原子爆弾を製造、備蓄する可能性はいくらでもあるのだ。これは「核施設の凍結」だけに合意しようとする場合の落とし穴だと言える。

 韓国にとってより重大な事案は、米朝間で核に関する合意がなされることにより、いわゆる韓半島(朝鮮半島)平和協定が締結されるかどうかという問題なのかもしれない。平和協定の締結は、単に韓国戦争(朝鮮戦争)の休戦状態を終わらせるという意味にとどまらず、米国と北朝鮮の関係改善、それに伴う在韓米軍の存廃、休戦協定の管理主体としての国連軍司令部の存廃、さらには韓半島の軍縮や南北統一といった、韓国の安全保障や将来の存立に根本的な変化をもたらす事案だ。こうした問題が今や、韓国政府では局長級以下の職位である米国務省の副次官補が韓国で話し合うほどまで軽々しく扱われるようになり、当然のことのように思われるようになってしまった。

 現在、米国のブッシュ政権は、イランの核開発への対処や、任期終盤の実績づくりに追われ、北朝鮮の核問題については短期的な成果を出すことに汲々としている。そんな米国の焦りが、北朝鮮の困窮した状況と、奇妙な利害の一致につながっているのだ。今回の6カ国協議は何らかの成果をもたらすかのようなムードに包まれているが、米朝間の拙速な取り引きによって実現する「合意」が、韓国にとっては災いのもとになるのではないかと思うと心配でならない。

ワシントン=許容範(ホ・ヨンボム)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報JNS

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