拉致被害者、帰国5年 未帰還者気がかり 「今こそ、一丸で事件解決を」 | trycomp2のブログ

拉致被害者、帰国5年 未帰還者気がかり 「今こそ、一丸で事件解決を」

 北朝鮮による拉致被害者5人が帰国して15日で5年を迎える。5人はこの間、それぞれがさまざまな悩みを抱えながら、必死で人生を“リセット”しようとしてきた。一方で、何ら進展しない拉致問題には、「北に残された被害者が気がかりです」と心を痛める日々が続いている。

 蓮池薫さん(50)、祐木子さん(51)夫妻は12日、5年間の支援への謝意を表すとともに、「米朝間の急接近や拉致事件の風化が取りざたされている今こそ、日本が一丸となって、拉致事件の解決を促していかなければならない」とのコメントを発表。地村保志さん(52)、富貴恵さん(52)夫妻も「今後とも拉致問題の早期解決のため、政府、家族会等を通じ、できる限りの協力をしていきます」とのコメントを出した。

 今年はつらい年だ。「助けてくれよ」。7月の新潟県中越沖地震。避難勧告を受けた蓮池さんは東京の兄、透さん(52)に訴えた。自宅の建物は倒壊を免れたが、裏山の斜面の亀裂が広がる危険があったため避難した。

 北で習得させられた朝鮮語で、韓国の文学作品など11点を邦訳。通訳やブログも手掛け、ようやく仕事が軌道に乗り始めた直後の被災だった。

 「自宅が仕事の拠点だったので大きな影響を受けた。国からの支援金をいただいているが、経済的な面で不安がある」(透さん)という。

 不安は、まだある。柏崎市が薫さん宅の被害を調査した際、「あいつがいるから、調査が早かった」と陰口をたたかれた。透さんは「『優遇されている』という誤解の目で見られ続けている」と打ち明ける。薫さんはそうした目を気にして、旅行や外食はほとんどしない。周囲の無理解や将来の不安…。それを声にすることさえはばかられるという。

 透さんは「帰国を果たしていない拉致被害者もいらっしゃる中、自分たちだけ状況の改善を求めるような声は上げられない」と、薫さんの心境を代弁する。

 地村保志さんの父、保さん(80)も「子供2人は大学生。入学や学費で『優遇されている』という(周囲の)声もある」と漏らす。保志さんは昨年4月、社会人採用試験に合格、福井県小浜市の観光交流課兼国際交流室の企画主査に。妻の富貴恵さんも、県の出先機関の嘱託職員として旅券発給業務をこなす。


国の支援に寄りかかっていない2人だが、「支援を受け、優遇されているのでは」と自らを責めるときがあるという。

 「気がかり…」。曽我ひとみさん(48)は8月に新潟・佐渡で開かれた激励会でこうつぶやいたという。母、ミヨシさん=拉致当時(46)=に話が及んだときだった。29年前に一緒に拉致されてから再会できないまま、あの時の母の年を上回ってしまった。夫のジェンキンスさん(67)、長女の美花さん(24)、二女のブリンダさん(22)を迎えた曽我さんだが、帰国できない被害者を待つ家族でもある。

 「病気で死んでしまう被害者や家族がいるかもしれない」。増元るみ子さん=同(24)=の弟、照明さん(52)は動かぬ現状に危機感を募らせるが、帰国した5人には、こうした被害者家族の気持ちが痛いほど伝わる。「未帰還者の帰国なくしては、私たちの拉致事件も決して終わりません」(蓮池さん夫妻のコメント)。「拉致は解決済み」との北の主張が、いかに現実とかけ離れたものかを示す言葉だ。

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