特集ワイド:「KY」対談 加藤紘一氏VS山崎拓氏 | trycomp2のブログ

特集ワイド:「KY」対談 加藤紘一氏VS山崎拓氏


 ねじれ国会で超党派の動きが活発化する中、自民、公明、民主、社民各党のリベラル“ビビンバ”議員団が10、11日、訪韓した。対北朝鮮外交をどう導こうとしているのか、政界再編に向けてどのように動くのか。訪韓団を率いた自民党の加藤紘一元幹事長と山崎拓前副総裁が語り合った。司会は松田喬和専門編集委員。(敬称略)【構成・山田道子、太田阿利佐】

 ◇対北朝鮮、拉致解決と非核化 「安倍風」より「小泉風」で

 --訪韓団の成果は?

 加藤 小泉純一郎、安倍晋三両政権で日韓関係は冷却化した。福田康夫首相になって一転、かなり話し合える感じになった。李明博(イミョンバク)次期大統領と直接会い、さらにいい方向に進みそうだと確認し合えたのが最大の成果だ。

 山崎 新政権スタートの節目に超党派で訪韓することで、外交安保政策では国論が統一されていることを示せた。

 --北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議にも好影響を与えるか。

 山崎 当然与える。6カ国協議の進展のため、日米韓の連携をより緊密にしようと李氏も言っていた。

 加藤 すぐにいい展開になるのは難しいかもしれない。アメリカでは北朝鮮のシリアへの核情報提供が議会で問題になっている。また北朝鮮はいつも、韓国の大統領が代わるとしばらく観察期間を置く。僕は、李氏が打ち出した「非核開放3000」、すなわち北朝鮮が核を放棄して経済を開放すれば、1人当たりのGNP(国民総生産)が3000ドルになるよう10年間でしてあげるという政策は、長い目で見れば北朝鮮のためになると思う。

 山崎 「非核開放3000」を10年で実現するには、今年中に朝鮮半島を非核化しなければならない。ブッシュ政権は最後の年で外交安保上の実績を残したい。福田政権も外交上の最重要課題に日朝国交正常化を掲げ、しかも政局運営を考えた場合、今秋までに一挙に進むことが大変望ましい。「条件は整っているからこの1年で勝負しましょう」と李氏に言ったら、答えは「日本が6カ国協議にもっと積極的に取り組むことを期待する」だった。6カ国協議合意の「第2段階措置」(北朝鮮の核施設の無能力化と廃棄プログラムの完全申告)では各国が北朝鮮に100万トンの重油相当のエネルギー支援をすることになっているが、日本は加わっていない。李氏はそれはいかがなものかと示唆したのだ。

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 --どうすればいいか。

 加藤 韓国の拉致被害者は数百人いて、政府は厳しく交渉すると同時に、北朝鮮を核を持たない国にして国際社会に引っ張り出そうともしている。日本も拉致問題解決と北朝鮮の非核化の両方を進めるべきだ。拉致問題が全面解決しない限り対話は一切しないという「安倍風」から、自ら訪朝し対話を進めようとした「小泉風」に戻すことが重要だ。

 --福田さんにその意思がありますか?

 山崎 もちろんだ。拉致問題の全面解決は非常に難しいし、決着が何かという絵も描かれていない。当面はステップ・バイ・ステップで前進を図るべきだ。外交が政府の専管事項というなら、6カ国協議の中の日朝国交正常化作業部会で北朝鮮が拉致問題で見るべき前進案を示せば、日本側はそれを評価して協力をする。李氏が示唆したエネルギー支援に踏み切ることが必要だ。前進の内容次第では、日本の対北朝鮮経済制裁も一部解除すべきだ。

 --国交がない段階では、かつての日中や日ソのように議員外交が必要ではないか。

 加藤 そう思う。日中も半官半民の協定に基づくLT貿易や首相親書をたずさえた公明党の竹入義勝委員長(当時)の訪中が大きな役割を果たした。対北朝鮮でも、自民党の金丸信元副総理と田辺誠社会党副委員長(肩書はいずれも当時)が率いた超党派議員団の訪朝で、両国間の空気をなごませた。福田政権になったのだから、超党派議員団で北朝鮮に行くということが、すぐにではないにせよ近未来に実現するように努力したい。

 --その前段で山崎さんは今月中にも訪朝するのでは。

 山崎 その可能性は低い。時期としてはまず、北朝鮮が行う「第2段階措置」との引き換えにアメリカがテロ支援国家の指定を取り消すタイミングだ。もう一つは、日本の経済制裁の期限である4月13日。部分的でも制裁を解除するには拉致問題で見るべき前進が必要だ。「前進」は6カ国協議の日朝国交正常化作業部会で合意されるべきものだが、事前の根回しは政治家レベルでしなければならない。それが私の出番が取りざたされる背景だ。

 --訪朝となれば、福田さんも了承していると見ていいか。

 山崎 今度は勝手に行かない(笑い)。首相の了承がないと交渉能力を失うから。

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 --ところで、訪韓団メンバーは政界再編をにらんだものという見方があるが。

 山崎 政策調整可能なパイプ作りの一環だ。

 --2人は福田政権に期待しているが、内閣支持率は低下している。どうしたら人気を回復できるか。

 加藤 やりたいことのメッセージがあっても実行できなければ人気は上がらない。実行できないのはねじれ国会だから。その解決策として福田さんがまず選んだのは大連立。次は「野党が数で押し切るなら与党も」という「つなぎ法案」でのチキンゲームだった。両方ともうまくいかなかった。我々の訪韓団はビビンバ(韓国風混ぜご飯)グループと言われたが、超党派のグループができて連携が生まれるのはいいことだ。

 --訪韓団には民主党の仙谷由人、枝野幸男両元政調会長が加わっていたが。

 加藤 民主党はかなり幅広いメンバーだった。反小沢の両巨頭はいたが。その意味で面白い団だった。

 --加藤さんは昔からリベラル。山崎さんは保守反動のように言われていたが、いつの間にリベラルに?

 山崎 憲法改正論者であることは間違いないが、集団的自衛権の行使は憲法を改正しない限り認められないという立場を固守している。靖国参拝も反対だ。私は定位置を守っているのに、周囲の景色が勝手に右に移動した。

 --内政におけるリベラルとは?

 山崎 格差是正、弱者に優しい政治を目指す。これはかつての保守の立場である「大きな政府」だから分かりにくくなっている。

 加藤 外交リベラルと内政リベラルは7~8割は一致するように思う。

 --政界再編は次期総選挙後でないと無理か。

 加藤 選挙後だと思う。政界再編でも大連立でも数合わせではなく、原理原則で一緒にならなければならない。

 山崎 同感だ。政界再編は必至だ。
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