「拉致解決」新潟で再発信 国際社会は支援傾斜 正念場の首相、25日訪問
北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議の合意を受け、国際社会が北朝鮮への支援に傾く中で、安倍晋三首相が拉致問題の埋没回避に腐心している。首相は週明け以降、拉致被害者や家族と相次いで面会し、拉致問題の進展なしにエネルギー支援に参加しない政府方針と問題解決への決意を伝える。ただ、近く開始される日朝国交正常化の作業部会の行方は不透明で、「結果を出す政治」を目指す首相の正念場となりそうだ。
首相は十六日、今後の日朝協議について「何とか結果を出したい。拉致問題も具体的な進展を目指す。まだほっとする段階ではない」と記者団に力を込めた。
二十五日には新潟を訪問し、拉致被害者の蓮池薫さんや曽我ひとみさんらと面会する予定も正式に明らかにした。二十日も首相官邸で拉致被害者家族の会のメンバーと面会する。
首相は官房副長官時代の二○○二年、一時帰国といわれた蓮池さんや曽我さんを北朝鮮に戻すことに強硬に反対。毅然(きぜん)とした姿勢が国民の共感を呼び、首相への階段を駆け上がる契機となった。「原点の地」ともいえる新潟訪問で、政権の最重要課題とする拉致問題への揺るぎない姿勢をアピールしたい考えだ。
しかし自民党内では、日本の孤立化への懸念から「(国際社会の支援の)バスに乗り遅れてはならない」(山崎拓前副総裁)と路線転換を求める声も出ている。
こうした動きには内閣支持率が続落する政権を揺さぶる非主流派の思惑もあるとみられ、首相は十四日、記者団に「バスに乗ることによって誰を置いていかなければならないか、よく考えてもらわないといけない」と強い口調で反論した。
ただ、日朝作業部会が始まっても「拉致は解決済み」とする北朝鮮の態度を変えるのも容易ではない。膠着(こうちゃく)状態が長引けば、内外で逆風にさらされることも予想される。
北海道新聞 政治