6カ国協議:解説 抜け穴ふさぐ戦略を | trycomp2のブログ

6カ国協議:解説 抜け穴ふさぐ戦略を

 6カ国協議の成果として発表された合意文書は、北朝鮮による核兵器開発の段階的廃棄に期待を抱かせる内容だ。しかし、金正日(キムジョンイル)総書記が本当に核放棄を決断したという証拠は見当たらない。今後、抜け穴のないロードマップ(具体的措置履行の行程表)を作れるかどうかが焦点になろう。

 89年に北朝鮮の核開発疑惑が浮上して以来20年近い。この間の展開は、金総書記が核保有への執念を捨てたことがなく、今後も捨てないのではないかという濃厚な疑惑を招いた。

 94年の米朝枠組み合意は、それまで北朝鮮が生産したプルトニウムにはいったん目をつむり、核施設凍結の見返りに出力100万キロワットの軽水炉原発2基と年間50万トンの重油を提供するという破格の大盤振る舞いだった。当時の米政府は北朝鮮が数年以内に崩壊すると信じていたことが後日判明した。

 今回合意が示したエネルギー支援なども、大きな「アメ」で北朝鮮を動かそうとするもので、核実験を強行したことへの「ムチ」の側面は見えない。イラクの内戦状態など米政府の苦しい立場の反映でもあろうが、疑問は残る。

 また、寧辺の核施設はもともと、状況次第で米軍の爆撃を受けかねない弱点があった。既に相当量のプルトニウム生産と核兵器製造に役立ったこの旧式施設を取引材料にして大きな見返りを獲得し、まだ存在を認めていない高濃縮ウラン開発を進めるという選択肢は、金総書記にとって合理的なものだろう。

 北朝鮮の現体制が虚偽を繰り返してきた事実を見据えつつ、合意された初期段階の措置を通じて抜け道を次々に閉ざしていく戦略が求められる。【ソウル中島哲夫】

毎日新聞 2007年2月13日 21時31分 (最終更新時間 2月13日 23時17分)

6カ国協議:解説 抜け穴ふさぐ戦略を-アフリカ・オセアニア:MSN毎日インタラクティブ