日朝交渉再開/日米分断工作を警戒せよ | trycomp2のブログ
日本と北朝鮮は国交正常化交渉を今月中にも再開することで合意した。わが国は昨年十一月、日本人拉致、核・ミサイル、過去の清算を含む国交正常化の三つの協議会を設置し、並行協議することを提案、北がこれを受け入れた結果である。
二〇〇二年十月以来の国交正常化に向けての交渉が再開されることになるが、楽観は許されない。北の隠された意図を十分に見極めて、交渉が北ペースにならないよう十分な警戒が必要である。
基本姿勢は変化ない
北は現在、米国の経済制裁で苦境にある。北が偽ドル札作りを行い、マカオの銀行を資金洗浄に利用していることが判明。米政府はマカオの銀行との金融取引を禁止するなどの圧力を掛け、北は重要な資金調達拠点を失ったからだ。
北が苦境にあることは、中断中の六カ国協議再開の条件として米国の経済制裁解除を持ち出していることでも明らかである。同協議は核開発阻止を貫く日米と、北に融和的な韓国や強硬策に反対する中国、ロシアの、二対三の対立の図式にある。そこで、同協議の前に日朝対話を先行させて日米の離間を図り、米国を孤立させようとする北の狙いが浮かび上がってくる。
日本政府内には「今回の合意は北朝鮮が拉致事件を解決済みではないと認めたことだ」との見方があるが楽観的に過ぎはしないか。日本側の戦術は、国交正常化交渉解決による経済援助を「アメ」に使い、拉致問題で北の譲歩を引き出すことのようだが、北を甘く見てはならない。
日本側は拉致問題解決のための具体的措置として、拉致被害者の帰国、横田めぐみさんら安否不明の被害者十一人の真相究明、拉致容疑者の引き渡しの三点を挙げているが、北が誠意をもって答える可能性はまずない。
拉致問題について「解決済み」との基本姿勢は変わっていない。協議再開といっても「なぜ日本が解決済みでないと思っているのか聞きたい」といった程度のものかもしれない。従って、横田めぐみさんの「遺骨」とされた物のDNA鑑定問題などに問題を絞り込んで、時間稼ぎをする可能性があろう。外国人の拉致は北の「国家犯罪」であり、政府中枢部に及ぶ可能性のある容疑者の引き渡しに応じるとは思えない。
また、小泉首相が残任期間中での日朝関係正常化に前向きだと、北が見ていることにも要注意だ。このためいろいろな“変化球”を投げてくる可能性がある。しかし、国交正常化は拉致問題と核・ミサイル問題の解決が大前提である。これらの問題の玉虫色の解決で、国交正常化交渉だけが進めば、拉致問題を置き去りにして国民を裏切るばかりか、日米信頼関係をも大きく傷つけることになろう。
日米分断と国交正常化で援助引き出しを狙う北と、拉致問題を最優先させるわが国との今回の交渉は同床異夢のものである。外交得点を狙っての不要な譲歩は国益に反する。
六カ国協議と日朝交渉での北の狙いは明白だ。核開発問題をテコに米国から金正日体制の打倒に乗り出さないとの保証を取り付けると同時に、日本からは巨額の経済協力を獲得することにある。
原則貫き日米関係強化を
外務省の一部には日朝国交正常化実現のために“対話継続論”にのめり込む傾向があるが、そのような姿勢では相手側のペースにはまる恐れがある。不誠実で価値観の全く異なる北との交渉に必要なのは、原則を貫く厳しい姿勢と、日米の強い協調関係だ。
社説
