過去にも“肉親の情”利用 日韓家族会の分断狙う | trycomp2のブログ

過去にも“肉親の情”利用 日韓家族会の分断狙う

 北朝鮮が、金英男さんと母、崔桂月さんらを南北離散家族の特別対面で再会させることを決めた背景には、日韓分断の意図が読み取れる。「肉親の情」につけ込む北朝鮮。その術中にはまる危険性が強まってきた。

 2000年12月、平壌のホテルで涙の再会があった。韓国政府が1987年1月、船を操業中に北朝鮮に拉致されたと認定している姜喜根さんとその母との再会だ。

 「トンジン号の甲板長として働いていたが、共和国(北朝鮮)に来て、無償で勉強させてもらったり、治療してもらったので、永住することを決めた。拉致というのは捏造(ねつぞう)だ」。姜さんはそう語った。横には北朝鮮で再婚した妻と子供。北朝鮮のメディアはこの場面を大々的に報じた。

 日本でも似たケースがある。昭和38年5月、能登半島近海で叔父たちと漁に出かけ行方不明となり、後に北朝鮮で生存していることが確認された寺越武志さん(56)。平成9年9月、平壌で日本の民放テレビの取材に応じた寺越さんは「共和国に来たのは日本海で遭難したところを救助されたから。自分の意思で(北朝鮮に)とどまった」と述べた。

 政府認定の拉致被害者ではないが、行方不明になった寺越さんは当時13歳。ごく普通の少年が突然、共和国にとどまろうと決意した、という。寺越さんの母は現在も訪朝を繰り返し、平壌で寺越さんと面会。寺越さんも14年10月、39年ぶりに日本を訪問したことがあった。寺越さんにも北朝鮮に妻子がいる。こうした形でしか親子の面会ができないのが現状だ。

 「肉親の情」を利用して拉致という犯罪の非道さを薄めるやり方。日本の被害者家族らは北朝鮮のこうした“手口”を知っている。

 めぐみさんの娘、キム・ヘギョンさんの「おじいさんとおばあさんに会えると思った」「私の方に来てほしい」といった言葉に父、滋さん(73)と母、早紀江さんも心を揺さぶられた。「孫には会いたい。でも北朝鮮で会えば、その感動がクローズアップされ、めぐみのことや拉致問題追及があやふやにされてしまう」という「断腸の思い」で訪朝を断念した経緯がある。だからこそ、金英男さんの家族にも「慎重に」とアドバイスしてきたのだ。

 「会いたいというだけでは取り戻せない」。増元るみ子さんの弟、照明さん(50)はそう語る。北朝鮮による拉致問題の残酷で非道な現実がそこにある。(中村将)

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産経夕刊 過去にも“肉親の情”利用 日韓家族会の分断狙う(06/08 15:00)