「拉致」進展は疑問 被害者家族ら 期待と不安交錯
南北首脳会談が二十八日から北朝鮮の平壌で行われることについて、北朝鮮による拉致被害者の家族からは八日、さまざまな声が上がった。
拉致被害者家族会の横田滋代表(74)は「拉致問題を議題として取り上げてほしい」と期待感をにじませる一方「これまでの六カ国協議でもエネルギー支援などの問題が中心だっただけに、なかなか難しいのでは」と、複雑な胸の内を語った。
自宅のテレビで会談実現のニュースを見た妻の早紀江さん(71)は「日本や韓国を含め、世界の十二カ国に拉致被害者がいる。どこの国の人々も思いは同じはず。北朝鮮の思惑は見えないが、(会談が)拉致問題にとっていい方向に動いてくれることを心から祈っている」と話した。
神戸出身の拉致被害者、有本恵子さんの母嘉代子さん(81)は「韓国から北朝鮮に何らかの支援があるのだろう。拉致問題も南北が統一すれば韓国では解決するが、日本には何の進展もないし、会談もマイナスしかない」と話した。
一方兵庫県内の在日関係者からも歓迎や期待、懸念などさまざまな声が上がった。
在日本朝鮮人総連合会兵庫県本部の金相行国際統一部長(50)は「七年前の歴史的会談以来いろいろあったが、政府や民間で統一に向けた交流を深めてきた。今回の話し合いで新しい局面を迎えることに大きな期待を寄せている」と歓迎。在日本大韓民国民団兵庫県地方本部の白永熙団長は、拉致事件解決の進展がない点などを挙げ「無条件で日本の方々から歓迎を受けるかは疑問」としながらも「南北の和解と共存の動きを確かなものにするためにも、首脳会談が成果を得て、今後の六者協議の進展に大きく寄与することを望む」と文書でコメントした。
在日二世の主婦朴明子さん(66)=神戸市中央区=は「ただうれしいの一言。南北関係なく自由に行き来できるよう、今度こそ飛躍的な進展があれば。早期の祖国統一を強く願っています」。
一方在日三世で神戸定住外国人支援センター理事長の金宣吉さん(44)は「国際社会で約束を守らない北朝鮮を韓国が認めることになる。経済交流や人道支援は現実的な選択だが、盧武鉉大統領個人のパフォーマンスと混同されており、今回の首脳会談は朝鮮民族や在日の人々にとってマイナスの効果しかない」と話した。
「拉致」進展は疑問 被害者家族ら 期待と不安交錯