肉親返せ 思い一つ/横田夫妻と県内家族面談 | trycomp2のブログ
拉致の悲劇 語らう
北朝鮮による日本人拉致問題で、拉致被害者家族会代表の横田滋さんと早紀江さん夫妻が十九日、那覇市内のホテルで、拉致の疑いが指摘される県内の「特定失踪者」五人の家族と初めて会った。互いに消息が絶えた経緯を語り合い、励まし合う。念願がかなった県内の家族は、「思いは一つ」「勇気づけられた」と、感激した表情を浮かべた。(阿部岳)
「どれだけ悲しい時間を重ねてこられたか」。娘のめぐみさんを奪われた早紀江さんが、出席した家族九人を気遣う。「一人でも多く帰ってくるよう、一緒に頑張りたい」。突然、子やきょうだいが目の前からいなくなる共通の体験が、双方を結び付けた。
那覇市の下地元枝さん(73)は一九八五年、上京しアルバイトをしていた三男の才喜さん=当時(22)=と連絡が取れなくなった。「明けても暮れても息子のことばかり考える。風で玄関の音がしても、帰ってきたのかと思う」
手を尽くして捜し回ったが才喜さんは見つからず、今は北朝鮮にいると考えている。横田夫妻に会い、「心を強く持って頑張らないといけない。いつか明るい話ができたら」と希望をつなぐ。
面談の会場となったホテルは、泊港に面する。七七年、漁船員の金武川栄輝さん=当時(26)=は同港から平良港を経て出漁した後、行方が分からなくなった。一度は生存をあきらめ、遺骨の代わりに泊港の石を拾って供養していた父の清吉さん(79)=うるま市=は「生きている間に『元気だ』と聞きたい」と語る。
栄輝さんと横田めぐみさんの失踪日は、九日しか離れていない。横田夫妻に会いたいと願ってきた妹の宮城祐子さん(52)は「細々とやってきた署名活動を、県内でも広げたい」と提案した。
タイムス女性倶楽部の講師として来県した横田夫妻。全国を駆け回るが、沖縄と青森では講演したことがなく、「これで四十六番目」とそろって笑顔を浮かべた。
県内の特定失踪者は、めぐみさんのように政府が拉致認定しているわけではない。しかし、滋さんは「肉親を思う気持ちに認定の有無は関係ない。真相がはっきりするよう、手を携えていきたい」と、きっぱり言った。
沖縄タイムス
