日朝協議、北朝鮮あの手この手 拒絶承知6者へ布石 | trycomp2のブログ

【北京=高槻忠尚、ソウル=市川速水】突拍子もない脱北支援者の引き渡しや「過去の清算」の補償要求……。8日終わった日朝の政府間包括並行協議で北朝鮮は、周到に準備した「仕掛け」を次々に繰り出した。代表団の言動を振り返ると、「6者協議など今後の対外折衝の布石としたい」との思いがにじむ。
「840万人余りの朝鮮人を強制連行し、100万人余りを虐殺、20万人余りを慰安婦として連行した特大の反人倫犯罪については経済協力と別に計算しなければならない」。朝鮮中央通信は9日、日朝協議で北朝鮮が主張した内容を伝えた。
●韓国を「利用」
02年の日朝平壌宣言で双方は、財産・請求権を放棄する代わりに日本が経済協力を実施する「日韓方式」で合意した。にもかかわらず新たな「補償」を求めてきた北朝鮮の念頭には、小泉首相の靖国神社参拝をめぐってぎくしゃくする日韓関係があったとみられる。
昨年の植民地支配終結60年にあわせて韓国では日本の歴史認識批判や植民地支配に対する個人補償要求が再燃した。歴史の見直し作業を急ぐ韓国の盧武鉉政権は、日本への補償の再要求は否定しているが、政府内でも不満はくすぶる。
北朝鮮は、日本に補償を求めても韓国との関係上、受け入れられないことを承知のうえで、民族として微妙な問題を取り上げ、日本からの経済協力のかさ上げを狙って揺さぶりをかけたようだ。
今回の協議では、北朝鮮代表団の積極的なメディア対応が目についた。北京入りから8日まで報道陣の質問に、少なくとも12回応じた。共同声明をまとめた昨年9月の6者協議で金桂寛(キムゲグァン)首席代表がほとんど報道陣の前に現れなかったのとは対照的だ。
●米にアピール
6者協議などで北朝鮮が予定された会議をキャンセルするのは、本国からの指示(訓令)を待っているためとされる。北朝鮮の交渉担当者は重要な問題で独自の判断ができないためだ。今回の日朝協議は日程がほぼ予定通り進んだ。あらかじめ「譲歩はせず、日本側の出方を瀬踏みする」(韓国政府関係者)との方針で臨んだ可能性がある。
核問題をめぐる6者協議が進展しない限り、日朝協議が進んでも経済協力などは得られない。北朝鮮はこう認識しながらも、日本と真剣に交渉している姿を、米国はじめ他の6者協議参加国に印象づける狙いがあったのだろう。
北朝鮮は表向き、米国の金融制裁解除が6者協議再開の条件と訴えているが、一方で明らかに態度を軟化させ始めた。朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省報道官は9日、「金融分野でのあらゆる不法行為に反対するのが我々の一貫した政策だ」「国際的な資金洗浄の防止活動に合流する」と言明。資金洗浄に関して国際協調の意思を示したのは初めてで、6者協議の再開に向け動き出す可能性が強まってきた。
asahi.com :朝日新聞今日の朝刊-国際面
