<拉致問題>横田さんらの訪韓 政府レベルの連携強化へ期待 | trycomp2のブログ

<拉致問題>横田さんらの訪韓 政府レベルの連携強化へ期待

 「日本中の人が、めぐみちゃんが一日も早く帰って来るのを待っています」。拉致被害者家族会代表の横田滋さん(73)は、韓国在住の脱北者による北朝鮮向けラジオ放送の収録で訴えた。めぐみさんの夫が韓国人拉致被害者との可能性が強まったことを受けての家族会の訪韓で、民間レベルの交流が深まるのは確実だ。一方、南北融和政策もあり、問題解決に消極的とされてきた韓国政府。今回の訪問が日韓の政府レベルの連携強化にまでつながることが期待されている。【大貫智子、ソウル・堀山明子、工藤哲】
 ◇現地メディアの関心も高く
 横田さんら一行が韓国の空港に到着した際、待ちかまえた報道陣は日韓で100人以上に上った。韓国の拉致被害者でつくる「拉北者家族協議会」の崔祐英(チェウヨン)会長(36)が「こんなに多くの韓国メディアが取材に来るなんて。これだけで大きな成果だ」と驚くほどだった。
 家族会や支援団体・救う会は、99年以降、相互訪問するなど韓国人拉致被害者団体との交流を進めてきた。しかし、韓国内でのメディアの反応はこれまで今一つだった。それだけに、横田さんは「前回訪韓した03年と比べると、予想以上の多さだ。関心が高まったのが身をもって感じられた。韓国でも、救出運動が盛んになることを願っている」と語った。
 日本政府は、竹島の領有権問題などを抱えるものの、今回の訪韓を契機に拉致問題解決へ向けた韓国との協力関係を構築し、北朝鮮への国際的圧力を一層強めたい考えだ。横田早紀江さんとブッシュ大統領との面会実現を働きかけるなど、拉致を国際的な人道問題としてアピールすることで、北朝鮮に解決を迫っている。
 訪韓に同行した救う会の西岡力副会長は「北朝鮮は韓国人拉致を認めていないから日本と状況は違う。13歳(めぐみさん)と16歳(金英男さん)が拉致され、結婚させられたという悲惨さが韓国民にも分かった。そうした機運を育てて両国の連携強化につなげていきたい」と話している。
◇韓国は南北対話優先
 韓国では、朝鮮戦争後に北朝鮮に拉致された韓国人が485人いると推定されているが、北朝鮮を刺激しないよう、1000万人とも言われる朝鮮戦争前後の離散家族の中の「特殊家族」として扱われている。李ジョンソク統一相も5月初めの会見で、横田さんら家族とは「会う必要はない」と明言し、拉致熱の急速な高まりをけん制した。
 南北対話を重視する盧武鉉(ノムヒョン)政権は最近、大規模経済支援と引き換えに拉致問題解決を目指す方針を打ち出し、北朝鮮への圧力で連携する日韓の拉致被害者団体の動きとは一線を画している。ブッシュ大統領が横田早紀江さんや韓国の脱北者と面会した際も、日本側の全面支援に対し、韓国側は政府当局者を面会にも派遣しなかった。
 今月16~18日には南北鉄道の連結に向けた南北将官級軍事会談、16日には金大中(キムデジュン)前大統領の6月訪朝に向けた南北実務接触が予定されている。韓国政府はこの間、南北対話の進展を優先し、拉致問題に焦点が当たることは避けたいようだ。
(毎日新聞) - 5月16日1時25分更新
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