北朝鮮核:停止・封印受け入れの背景、政治的価値薄れる?
【ウィーン会川晴之】北朝鮮が5000キロワット黒鉛減速炉など寧辺(ニョンビョン)の核施設の停止・封印を受け入れた。核活動の停止を拒否してきた北朝鮮が停止・封印に応じた理由を核開発の側面に絞って分析すると、米国との究極の取引材料である核兵器を既に保有し、プルトニウム増産の政治的価値が薄れたことが浮かび上がる。
停止・封印される黒鉛炉は86年に運転を開始した。89年春に核燃料棒を抜き取って再処理し、核兵器1~2個分に当たる6~12キログラムのプルトニウムを抽出したと見られている。
94年の米朝枠組み合意で北朝鮮は、核兵器4~5個分のプルトニウムを含む8000本の使用済み核燃料棒の国外移転を拒否。合意後10年程度で完成する軽水炉の提供と引き換えに国外搬出を認めた。米国はプルトニウム増産につながる再処理阻止を最重要と位置付け、北朝鮮もこれらの燃料棒を取引材料として最大限に活用したためだ。
北朝鮮は03年初頭から黒鉛炉の運転を再開。同年10月と05年5月の2回、核燃料棒を再処理して新たにプルトニウムを抽出した。保有総量は核兵器4~13個分に当たる「20~53キログラム」と見られる。
既に相当量のプルトニウムを手にしている北朝鮮にとって、米国に自国の体制維持などを認めさせるための最大の取引材料は、プルトニウム増産用の施設から核兵器自体に代わったと言える。米国相手に核兵器を使用するのは「軍事的には意味が無く、多額の資金投入が必要なプルトニウム保有量の積み増し(再処理)も意味が薄い」(核不拡散専門家)との判断からだ。
毎日新聞 2007年6月30日 21時19分
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