日朝の遅れ、米中韓懸念 6者協議作業部会 | trycomp2のブログ

日朝の遅れ、米中韓懸念 6者協議作業部会

 6者協議の日朝国交正常化作業部会が5日からモンゴルのウランバートルで始まる。原則論を述べ合っただけで決裂した3月のハノイでの会合から半年。拉致や過去の清算問題で実質的な協議に入れるかどうかが焦点となる。

 北朝鮮の核問題をめぐる6者協議の中に設けられた五つの作業部会のうち、日朝作業部会の遅れが際立っている。ジュネーブで2日まで開かれた米朝作業部会ではかなりの進展があったとみられ、米朝が全体を引っ張る形で6者協議は進む。他の参加国からは「日本だけが自らの主張にこだわることは難しくなる」との声も出ている。

 関係筋によれば、北朝鮮は米朝部会で、核施設の無能力化と非核化の申告について8月の非核化作業部会よりさらに突っ込んだ提案をした。米朝ともに北朝鮮の核施設の「年内無能力化」で合意したことを認めた。

 さらに朝鮮中央通信は3日、期限を明示しなかったものの、米国がテロ支援国家指定から北朝鮮をはずすことになったと報じた。日本は拉致問題の解決前の指定解除には反対している。米側は現時点での指定解除は否定しているが、北朝鮮が前向きな行動をとり続ければ現実味を帯びてくる。ヒル米国務次官補は4日、「非核化に向けて(北が)どう対応するかだ」と語った。

 核問題をめぐる協議が順調に続くなか、他の参加国からは日本の「孤立化」と6者協議への影響を懸念する声が出ている。7月の6者協議首席級会合では「休憩時間中、米朝など関係国が活発に歓談していたが、日本代表団だけ席に座って書類に目を通していた」(韓国政府関係者)。

 米中韓は日朝双方に対し、水面下で妥協点を探るよう働きかけ始めた。6者協議の進展には、日本も加わった大規模な経済支援が不可欠との立場からだ。

 米国は北朝鮮に「拉致被害者に対する調査再開」を打診。韓国は最近、日本政府に「第三者による遺骨の鑑定など、具体的な提案を北朝鮮に働きかけたらどうか」と非公式に持ちかけた。中国も「このままでは日本だけがバスに乗り遅れる」と日本側に伝えた。

 一方、北朝鮮は攻勢を強めている。北朝鮮高官は最近、「日本との関係をどうするつもりなのか」と訪ねた韓国政府関係者に対し、こう答えた。「朝米関係が改善しているのに、日本がついてこないと思うか」

 ある協議関係者は「北朝鮮は形式的に拉致被害者の調査再開だけ応じて米韓に理解を求め、日本に譲歩を迫る恐れがある」と指摘する。

 ●日本「戦術面では選択肢」

 安倍首相は4日、官邸を訪れた日本政府代表の美根慶樹・日朝国交正常化交渉担当大使に「拉致問題は極めて重要な問題なので、前進するよう全力を尽くしてもらいたい」と指示した。

 一方、北朝鮮代表を務める宋日昊(ソン・イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使は4日、経由地の北京空港で記者団に「協議は6カ月ぶりに開かれるので、一定の期待感を持っている」と語った。

 拉致問題の解決を政権の最重要課題に掲げる安倍首相だが、「最近、首相の言葉に変化がみられる」(日朝関係筋)と指摘する声もある。

 作業部会開催が正式発表された8月28日、首相は「拉致問題、核問題を解決し、不幸な過去の清算をして日朝の国交正常化を行っていく」と記者団に発言。北朝鮮が重視する「過去の清算」にあえて言及したことに、北朝鮮の宋大使が「評価する」と好意的な反応を示した。

 年内に北朝鮮のすべての核施設を無能力化することで合意した、米朝作業部会の結果が、日朝協議を後押しするとの期待感もある。ヒル氏は「日朝も成功すると信じる理由がある」と明言した。

 次回の6者協議全体会合では北朝鮮へのエネルギー支援も焦点になるが日本は拉致問題の「進展」を条件としており、参加は当面先送りされる見通し。一方で、豪雨で深刻な水害被害を受けた北朝鮮への人道支援については、与謝野官房長官が4日の記者会見で拉致問題などとは切り離して検討する考えを示唆した。

 政府関係者は「基本方針は変わらないが、戦術面では選択肢はいろいろある」。6者協議の枠組みを維持するためには、日本政府としても、ある程度歩調を合わせる必要があるとの考えからだ。


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