脱北家族4人、健康状態「良いです」 帽子にマスク姿
青森県に漂着してから2週間。北朝鮮の脱北家族は16日午前、韓国に到着した。一家をどこで保護するか――。想定外の事態に日本政府は対応を迫られ、課題を残したままの出国となった。
「自由、民主、人権」
仁川国際空港に到着した4人の脱北者のうち、父親と見られる男性は、韓国に第一歩を踏み出した感想を聞かれ、大きな声でこう叫んだ。
集まった大勢の報道陣から質問が相次ぐ。名前を尋ねられると男性は「まだ心が落ち着かないので、分かりません」。健康状態についての質問には「良いです」とだけ答えた。
飛行機から降りてゲートに姿を現した4人は、古びた服装をまとっていた。帽子をかぶり、真新しい大きな白のマスクをかけており、表情はほとんど分からなかった。
4人のうち2人は靴ではなく、スリッパを履いていた。要人用駐車場にとめてあった韓国政府の小型バスに乗り、空港を離れた。
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出国前、4人は茨城県牛久市にある入国管理局の職員研修施設に移動後、テレビを見るなど次第にくつろいだ様子で、互いに朝鮮語で話しあうなどしていた。食事にキムチが出ると、「おいしい」と話していたという。警察当局によると、一家は北朝鮮国内では、次男のイカ漁による収入で他より裕福だったという。
脱北者が船で直接日本に漂着する事態は、入国管理局の想定外だった。北朝鮮人権侵害対処法施行後初の事例で、政府が早期に「保護方針」を表明。入管当局は退去強制手続きを取って身柄を引き受ける手順を踏めなかった。さらに次男の覚せい剤所持で、警察の保護期間が切れるまでに韓国に移す計画が崩れた。
その結果、一家をどこで保護するかで、入管は検討を迫られた。強制退去者ではないので収容施設に入れるわけにはいかない。警察の取り調べを受けられる環境も必要だ。結局、一時庇護(ひご)上陸許可の申請中という名目で、研修施設に移し、そこで許可を出したうえで、正規の出国者として韓国に渡らせるという複雑な手続きを取った。
インドシナ難民を受け入れていた時代は、数カ所の難民受け入れ施設があったが、これらは90年代にすべて廃止されていた。入管幹部は「政府として枠組みづくりを迫られる時期が来るかもしれない」と話す。
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