目に余る「拉致」先送り | trycomp2のブログ

目に余る「拉致」先送り

 拉致問題の解決は、かえって遠のいたという印象を受ける。北朝鮮が言いがかりとしか思えないような問題を持ち出し、先送りを図ったからだ。これでは反北感情を刺激するばかりだ。
日朝協議

 「どこに誠意ある努力があったのか。進展がないのは極めて遺憾だ」

 北京で五日間にわたって開かれた日朝政府間協議のあと、原口幸市・国交正常化交渉担当大使は、厳しい口調で北朝鮮を批判した。

 今回は包括並行方式による初の顔合わせだった。拉致、国交正常化、核・ミサイルに分け、双方が関心を持つテーマを同時に話し合うところに特徴がある。

 これで、北朝鮮をテーブルに着かせることはできたが、結果的には同じ方式での協議継続が決まっただけだ。協議の内容をみると、大きく失望せざるをえない。

 特に、日本側は最優先と位置づける拉致事件について、生存する被害者全員の帰国、拉致実行犯の引き渡しなどを求めた。しかし、北朝鮮は「基本的に解決済み」という対応を崩さず、全く進展はなかった。

 反対に、北側は脱北者支援団体の代表ら七人を「わが国民の拉致誘拐犯罪者」として引き渡すよう求めた。脱北の原因は、北朝鮮の経済失政と人権抑圧の独裁体制にある。

 政治難民は国際条約で守られている。問題をはぐらかす要求に、北朝鮮の誠意のなさがよく表れている。

 過去の清算については、二〇〇二年の日朝平壌宣言で「経済協力方式」で行うことで合意している。それにもかかわらず北朝鮮は今回「それだけではだめだ」と、強制連行などについては個別の「補償」が必要と、振り出しに戻してしまった。

 こんな対応では、北朝鮮に対する日本の世論を硬化させ、反発を招くだけだ。北朝鮮はこのことをよく認識してほしい。

 政府は「拉致問題の解決なくして国交正常化はあり得ない」と繰り返してきた。拉致問題でまず解決すべきは、被害者の原状回復、生存者の早期帰国である。

 次回協議も包括並行協議方式で行われるようだが、重点の置き方にメリハリを利かせた方がいい。

 また、今回の協議で北朝鮮のかたくなな姿勢が一層はっきりした。難問解決には、周辺国とくに北朝鮮と深い利害関係を持つ米国、中国、韓国の理解と協力が不可欠だ。

 それなのに中韓両国とは首脳同士の対話が途絶えている。北朝鮮の思うつぼだ。両国との関係改善が対北外交のためにも緊要である。小泉首相はあらためて認識してほしい。
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