米朝作業部会 米、核問題を最優先 「拉致」日本と認識にズレ
【ニューヨーク6日西村卓也】五、六の両日、ニューヨークで開かれた六カ国協議の米朝関係正常化作業部会で、米国は日本人拉致問題についても提起、北朝鮮に対して日本との関係改善を促した。ただ、拉致問題は、米国にとって北朝鮮のテロ支援国家指定解除を検討する際の一テーマという間接的な取り扱い。核問題と並んで、拉致問題を日朝関係正常化に向けた最重要課題と位置付ける日本と認識の違いも浮き彫りになった。
米国代表のヒル国務次官補は作業部会後の記者会見で、テロ支援国家の指定解除は「歴史的、政治的、法的観点から議論する」とし、「拉致問題もこれと関連する問題」と位置付けた。
作業部会の中では、北朝鮮の金桂冠(キムゲグァン)外務次官に対し、日朝関係改善の重要性を強調した。背景には、日朝関係の改善がエネルギーを含む経済支援につながることを北朝鮮に認識させ、核放棄の誘い水にしたい思惑がある。
しかし、ヒル次官補が「日本人拉致問題の解決」を直接的に訴えたかは不明だ。二○○五年九月の六カ国協議共同声明、今年二月の同共同文書ともに、「不幸な過去を清算し懸案事項を解決する」とは書かれているが、「拉致問題」に直接の言及はない。米国が拉致問題を具体的に取り上げれば、北朝鮮の反発は必至で、最近の対話ムードに水を差すことになりかねない。
作業部会に先立って開かれたヒル次官補の講演会では、米国人記者から「なぜ米朝部会で日本の拉致問題を取り上げなければならないのか」という質問が出た。
また、日本の安全保障の観点から、「拉致問題よりも、北朝鮮のミサイル開発に明確な歯止めを設ける方が重要なのではないか」(ニューヨークの外交筋)との声も出ている。
米朝部会で米国が最も重視するのは、北朝鮮の核開発の実態解明と、検証可能で後戻りできない放棄の実現だ。プルトニウム生産や高濃縮ウランの実態解明が進み、米朝関係正常化が具体化に向けて動きだした時に、拉致問題が進展していなければ、交渉の「お荷物」に位置付けられる可能性も否定できない。
北海道新聞 国際