「拉致進展せねば追加制裁」 言葉の圧力効果には疑問も
北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議で30日以内の日朝作業部会開催が合意されたことを受け、日本政府が北朝鮮に対する「言葉の圧力」を強めている。北朝鮮による日本人拉致問題に焦点を絞り進展させる狙いからだ。日朝間では作業部会に向けた水面下の折衝が続いているとみられるが、言葉の圧力は、具体的な成果に結びつくのか-。
6カ国協議での合意を受け、安倍内閣の閣僚らは、拉致問題をめぐり、示し合わせたかのような論陣を張っている。
麻生太郎外相は国会答弁で「(北朝鮮に)誠意がなければ、さらに制裁ということは十分あり得る」と追加制裁に言及。拉致担当の中山恭子首相補佐官も自民党の会合で同様の考えを示し、強硬姿勢を鮮明にした。
また、塩崎恭久官房長官は、拉致問題解決の道筋について(1)被害者全員の帰国(2)真相究明(3)実行犯引き渡し-と重ねて指摘。これらの発言を受け、安倍晋三首相は「作業部会で拉致問題の前進がなければ、北朝鮮が置かれている状況は決して良くならない」と強調した。
日本が現在、昨年のミサイル発射や核実験を受けて北朝鮮に科している制裁は、輸入や送金の停止、船舶の入港禁止などで、各国の中でも際だって厳しい。にもかかわらず、追加制裁をちらつかせるのは、北朝鮮が「拉致問題は解決済み」と言い張っているからだ。
さらに、作業部会が6カ国協議での合意に基づいて設置された意味も大きい。北朝鮮は協議に応じるかどうかも外交カードに使ってきたが、作業部会は「6カ国協議という大きな枠組みの中で開催される」(政府筋)ため、日本が強硬姿勢を見せても、北朝鮮は作業部会での協議に応じざるを得ない、との読みがある。
ただ、日本側が強硬姿勢を示すことで、北朝鮮が拉致問題で軟化する保証はない。拉致問題が進展しなくても、6カ国協議自体は前進する可能性もある。拉致問題が進展しない限り、北朝鮮に物的支援をしない政府方針に対し、自民党内の一部では国際社会で孤立するとの懸念も出ており、日本政府にとって難しい局面に変わりはない。
(原田悟)
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