<拉致問題>北朝鮮に向け短波放送開始 特定失踪者調査会 | trycomp2のブログ
安否不明の拉致被害者らを激励し救出しようと、「特定失踪(しっそう)者問題調査会」が、北朝鮮に向けて、日本語で被害者一人一人の名前を読み上げる短波放送を始めた。「監視の厳しい北朝鮮でも安心して聞けるように」と放送は深夜の30分間。厳しい財政をやり繰りしての手作り放送で、調査会の荒木和博代表は「日本で救出活動が行われていることが被害者に分かれば、きっと心の支えになる」と期待する。【西脇真一】
放送は、潮風に乗って届いてほしいとの願いを込めて、「しおかぜ」と名付けられた。調査会の依頼を受けたロンドンの放送配信会社が北朝鮮の近隣国の施設から、先月30日に流し始めた。発信地は、安全上の理由で明かせないという。毎日午後11時半の決まった時間に、周波数5・89メガヘルツで流す内容は、東京都文京区の調査会の事務所で録音されている。
放送にかかる費用は年間約300万円。調査会に寄せられたカンパで賄う。少しでも費用節約をと、マイクのスタンドはカメラの三脚を代用、音質を保つためマイクにタオルとちり紙をテープで留めて使う。音響機器は事務局員の私物で「新たに買ったのはカセットテープと2500円のケーブルぐらい」だ。
「こちらはしおかぜです」で始まる放送で読み上げるのは、政府が認定した拉致被害者でいまだ安否不明の11人、調査会が公開した失跡者250人、そのほか60年代に失跡した小住健蔵さんら拉致の疑いの濃い5人の計266人。名前、生年月日、失跡時期や場所などを一人一人放送する。番組は1日約50人ずつ読み上げ、5日で一巡。将来は家族の声も流す予定だ。
73年に失跡した千葉県市原市の会社員、古川了子(のりこ)さんの姉の竹下珠路(たまじ)さん(61)は「この呼びかけが届き『自分たちも頑張ろう』と思ってくれることを期待している」と語る。荒木代表は放送でこう呼びかける。「拉致被害者の皆さんには、これまで放置してきたことをおわび申し上げます。必ず助け出します。もう少しの間頑張って下さい」
◇米などの放送も
民間組織の「アジア放送研究会」によると、こうした朝鮮半島周辺や北朝鮮に向けた放送は、米政府系の「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)、「自由アジア放送」(RFA)が短波や中波で行っている。内容は国際ニュースや脱北成功者の声などだ。また、韓国の軍や情報機関が関与しているとみられる宣伝放送の色合いが濃い「人民の声」「希望のこだま」もある。
公安関係者によると、北朝鮮ではラジオの所有は届け出制で、聞ける周波数が固定されているうえ当局による定期検査もある。また、海外からの放送を聞けないよう妨害電波も出ている。しかし、放送研究会の山下透理事長は「中国製短波ラジオが闇で出回っているとみられるうえ、短波なら妨害電波の影響も比較的少なくて済む」と話す。
実際、曽我ひとみさん(46)の夫ジェンキンスさん(65)は自著の中で、隠し持っていた小型ラジオで02年の日朝首脳会談のニュースをVOAで聞いたと明かしている。また、NGO「北朝鮮難民救援基金」の加藤博事務局長も「脱北に成功した人がRFAを聞いていたと言っていた。繰り返し時間をかけて放送すれば、徐々に浸透していくだろう」と話している。
(毎日新聞) - 11月5日12時6分更新
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