米の対北テロ支援国家指定解除に予防線張る政府
政府は16日に行われた日米首脳会談で、北朝鮮へのテロ支援国家指定解除問題をめぐり交わされた議論について沈黙を守り続けている。背景には、「指定解除は既定路線」(外務省筋)であることから、拉致問題をたてに日本側が表立って反対すれば、日米関係がギクシャクしかねないとの計算がある。すでに政府内では「指定解除されても、日本外交の失敗ではない」(政府高官)などと予防線を張る声も出始めている。
この問題について福田康夫首相は19日、首相官邸で記者団に、「ブッシュ米大統領とよく話をした。大統領も事情をよくご存じだ」と述べるにとどめた。外務省幹部は同日、大統領が首脳会談で指定解除しないと明言しなかったことを明らかにした上で「日米関係が許容できる状況なら解除するという意味だろう」と述べ、指定解除は不可避との見通しを示した。
政府高官も「指定解除されれば(拉致問題で)北朝鮮へのテコの1つを失う」と語り、指定解除を前提にした対北朝鮮政策の練り直しの必要性を示唆した。
その一方、指定解除を「過小評価」する動きも目立ち始めた。
6カ国協議で北朝鮮が行う措置への見返り支援について、政府筋は「米国などにとって日本の協力は不可欠で、日本とともに拉致問題の解決を求めざるを得ない」と指摘する。同筋はまた、「北朝鮮は日朝国交正常化による経済協力をのどから手が出るほどほしがっている。拉致問題が解決されなければ、正常化はあり得ないので、このままで困るのは北朝鮮だ」と強調する。つまり、米側がテロ支援国家指定を解除されても拉致問題は置き去りにされないという見立てだ。
しかし、北朝鮮は日本が求める国交正常化作業部会の開催には応じておらず、「日米首脳会談で米側が解除問題で日本の言うことをどこまで聞くか見極めようとした」(外務省筋)との見方もある。ブッシュ大統領が「解除しない」との言質を与えなかったことで北朝鮮が今後の交渉で日本の足元を見てくるのは確実で、「対話路線」を掲げる福田政権が北に一層の譲歩を迫られる事態も否定できない。
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