6カ国協議 今後に大きな禍根が | trycomp2のブログ

6カ国協議 今後に大きな禍根が

 北朝鮮がようやく核施設の稼働停止に向かって動きだしそうだ。それにしても米国が見返りにした無条件の北朝鮮資金凍結の解除は、譲歩が過ぎる。将来に大きな禍根を残すのではないか。

 米国は、北朝鮮が強く求めてきたマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮関連口座の凍結解除を全面的に受け入れた。

 これを受けて北朝鮮は、三十日以内に寧辺にある核関連施設を停止、国際原子力機関(IAEA)の査察官を受け入れる約束をしたという。

 北朝鮮が、これらの「初期段階措置」を履行すれば、二月に合意した六カ国協議の共同文書は、ようやく実践段階に移行することになる。

 共同文書で定めた履行期限は六十日以内、今月の十四日には間に合わないが、核の完全放棄に向けた重要な一歩になる。北朝鮮には確実に約束を守るよう強く求めておく。

 米国が今回行った北朝鮮資金の凍結解除はほとんど無条件だ。ようやく動きだした核問題の進展を最優先したためだろうが、将来に大きな問題を残す恐れが大きい。

 米国が一昨年秋に対北金融制裁を始めたのは、BDAにある北朝鮮資金が偽米ドル札などの資金洗浄に関与したと断定したからだ。

 しかし、凍結解除は北朝鮮の違法行為を黙認すると同じだ。いわば“無罪放免”である。

 北朝鮮の偽ドル札にかかわる犯罪には、日本をはじめ各国が関連口座の凍結など、米国の金融制裁に協力してきた。今回の凍結解除は、そのはしごをはずされたことになる。

 もともと、偽ドル札行使と核放棄は次元の違う問題だ。金融制裁に困った北朝鮮は核に絡めて解除を求めるという横車を押した。米国はこの無理に妥協したことになる。

 ひとつ譲歩すると、さらに難題をふっかけ、より大きな譲歩を得ようとする。北朝鮮の常とう手段だ。

 北朝鮮の次の目標は、米国によるテロ支援国家指定の解除になろう。よど号乗っ取り犯の保護、最近では日本人拉致も理由になっている。

 日本政府は、核問題や拉致問題の解決が進まないことを理由に、先に対北独自制裁措置の半年間延長を決めたばかりだ。

 米国が金融制裁と同様に、無原則に指定解除をするようだと拉致問題解決には大きな障害になる。米国はこの点をよく認識してほしい。

 北朝鮮にとって、核兵器は独裁体制の“守護神”だ。放棄させるのは容易でない。周辺国は北朝鮮の外交戦術に振り回されないよう、あらためて注意を喚起したい。

東京新聞:6カ国協議 今後に大きな禍根が:社説・コラム(TOKYO Web)