「拉致実行犯」北工作員2人を特定 蓮池さん、地村さんが証言 | trycomp2のブログ
北朝鮮による地村保志(ちむら・やすし)さん(50)夫妻と蓮池薫(はすいけ・かおる)さん(48)夫妻の拉致事件で、警視庁公安部と新潟、福井両県警は30日までに、別の拉致事件に関連し国際手配中の元工作員、辛光洙(シンガンス)容疑者(76)と、警視庁が1985年に摘発したスパイ事件の主犯格とされた「朴(パク)」と呼ばれる工作員を拉致の実行犯として特定した。
蓮池さんと地村さんが警察当局の事情聴取に証言した。公安部などは国外移送目的略取容疑で捜査。早ければ日朝間の国交正常化交渉が再開される来年1月中にも逮捕状を請求し、警察庁を通じて国際手配する方針。
地村、蓮池両夫妻の拉致実行犯が明らかになったのは初めて。辛容疑者らは旅券法違反容疑などで既に国際手配されているが、「実行犯」として名指しされたことで拉致に直接関係する容疑での捜査が可能となった。
調べでは、地村さんと妻の(旧姓浜本(はまもと))富貴恵(ふきえ)さん(50)は78年7月7日夜、福井県小浜市の公園の展望台で男4人に袋をかぶせられて拉致された。実行犯の1人が辛容疑者だったという。
蓮池さんと妻の(旧姓奥土(おくど))祐木子(ゆきこ)さん(49)は78年7月31日夜、新潟県柏崎市の海岸で「たばこの火を貸してくれ」と言って近づいてきた男らに殴られて拉致された。蓮池さんはこの男を「朴」と証言した。
辛容疑者は80年に起きた大阪市の中華料理店店員、原敕晁(はら・ただあき)さん=失跡当時(43)=拉致の中心人物とみられている。拉致被害者の曽我(そが)ひとみさん(46)と横田(よこた)めぐみさん=同(13)=の教育係を務めていたことが判明しており、警察当局は拉致事件の核心を知る人物として注目している。
「朴」は、所在不明になっている北海道出身の小住健蔵(こずみ・けんぞう)さんら2人に成り済ましスパイ活動を行っていた「西新井事件」の主犯格とされる。83年2月に出国後、行方不明で、警視庁が85年3月に旅券法違反容疑などで国際手配していた。
地村、蓮池両夫妻が拉致された78年は、4人のほかにも東京都内の飲食店に勤務していた田口八重子(たぐち・やえこ)さん=失跡当時(22)=や神戸市の元ラーメン店店員田中実(たなか・みのる)さん=同(28)=ら6人が拉致されており、警察当局は関連を調べる。(共同)
≪「闇」知る2人…「英雄」と「消息不明」≫
北朝鮮による拉致事件の「闇」を知る実行犯が、被害者の証言でようやく浮かび上がった。30日、地村保志(ちむら・やすし)さん夫妻と蓮池薫(はすいけ・かおる)さん夫妻の拉致実行犯として、警察当局が捜査を始めたことが判明した北朝鮮元工作員ら2人。いずれも大物スパイとされ、1人は北朝鮮で英雄扱いされ、もう1人は20年以上にわたり姿を現していない。
韓国の裁判記録などによると、辛光洙(シンガンス)容疑者(76)は静岡県生まれの在日朝鮮人。兵庫県尼崎市の小学校に通っていたこともあり、1945年10月に家族とともに朝鮮半島に渡った。ルーマニアの工業大学を卒業。71年2月から北朝鮮の工作員として活動していた。
80年、宮崎県で大阪市の中華料理店店員、原敕晁(はら・ただあき)さん=当時(43)=が拉致された事件の主犯とみられ、警視庁は原さんになりすまして旅券を不正取得した旅券法違反容疑などで逮捕状を取り、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配している。
韓国潜入中の85年に韓国当局にスパイ容疑で逮捕され死刑判決を受けたものの、99年に恩赦で釈放された。2000年に「非転向長期囚」として北朝鮮に送還。送還前に日本の警察当局が事情聴取を要請したが本人が拒否し、実現しなかった。拉致被害者の横田(よこた)めぐみさん=失跡当時(13)、曽我(そが)ひとみさん(46)の教育係をしていたことも分かっている。
一方の「朴(パク)」と呼ばれる工作員は、本名や生死も含め謎に包まれた部分が多い。日本国内では、北海道出身の小住健蔵(こずみ・けんぞう)さん(33年生まれ、61年ごろ失跡)ら日本人2人に成り済まし、15年間にわたってスパイ活動を行ったとされる「西新井事件」で存在がクローズアップされた。
怪しまれずに日本社会で行動できるよう72年に東京・山谷の路上に倒れていた男性の戸籍謄本を不正に入手して男性名義の運転免許証と旅券を取得。男性が病死したため、小住さんの本籍を北海道から自分の住む東京・西新井に移し、小住さん名義の運転免許証や旅券を取得した。
小住さんに成り済ました「朴」は、頻繁にマレーシアやタイ、旧西ドイツなど海外に渡航。工作員の活動を続けていたとみられる。警視庁が85年に旅券法違反容疑などで国際手配したが、83年に出国してから所在不明で、その後の動向は全く分かっていない。(共同)
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■地村、蓮池さん拉致事件 1978年7月7日夜、地村保志(ちむら・やすし)さん=失跡当時(23)=と婚約者の(旧姓浜本(はまもと))富貴恵(ふきえ)さん=同=が福井県小浜市の公園で拉致された。同月31日夜、蓮池薫(はすいけ・かおる)さん=失跡当時(20)=と(旧姓奥土(おくど))祐木子(ゆきこ)さん=同(22)=が、新潟県柏崎市の海岸で拉致された。いずれも男らが襲撃後、袋詰めしゴムボートで沖の船に移して北朝鮮に運ぶ似た手口だった。両夫妻は北朝鮮で結婚した。2002年9月に小泉純一郎(こいずみ・じゅんいちろう)首相の訪朝で拉致と確認され生存も判明、10月に帰国した。蓮池夫妻の子ども2人、地村夫妻の子ども3人は04年5月に帰国した。(共同)
(12/30 22:51)
Sankei Web 社会 「拉致実行犯」北工作員2人を特定 蓮池さん、地村さんが証言(12/30 22:51)
