拉致解決急ぎ外交孤立避けよ  | trycomp2のブログ

拉致解決急ぎ外交孤立避けよ 

 政府は北朝鮮に対する同国船籍船舶の入港全面禁止や全品目の輸入禁止など、あす期限が切れる日本独自の経済制裁を半年間延長する方針を固めた。
 
 今年4月に続いて2回目の延長となるが、政府は「拉致問題で具体的な進展がない。核問題をめぐる情勢を総合的に勘案した」としている。
 
 日本にとって対北朝鮮で最も重要な課題である拉致問題で進展がない以上、制裁延長はやむを得ない。
 
 ただ、北朝鮮は六カ国協議の合意に基づき非核化プロセスに踏み出し、各国の対応も転換期を迎えている。日本政府も次の展開に備えて戦略を練っておく必要がある。

■対日姿勢軟化の兆し■
 
 現在の経済制裁の発端は、昨年7月の北朝鮮によるミサイル発射で、政府は特定船舶入港禁止特別措置法に基づき貨客船「万景峰92」の入港禁止などの制裁を発動した。
 
 さらに同10月の核実験を受けて、船舶入港と輸入の全面禁止や高級食材の輸出禁止など追加制裁に踏み切った。
 
 福田康夫首相は就任後、北朝鮮対応について拉致問題解決を含め「不幸な過去」を清算し「日朝国交正常化を図るべく最大限努力する」と述べていたが、拉致や核問題の進展には引き続き「圧力」が必要と判断した。
 
 だが、これまで日本に対し強硬姿勢を貫いてきた北朝鮮にもわずかながら軟化の兆しが表れている。
 
 たとえば9月にモンゴルで行われた日朝国交正常化作業部会では今後、日朝双方の関心事について誠意をもって協議していくことが確認されている。
 
 一方で北朝鮮の金正日総書記は先の南北首脳会談で「(日本は)福田政権に代わったので日本の状況を見守る」と発言、日本の出方を探っている。
 
 日本政府は目まぐるしく動く北朝鮮情勢への細かな目配りが必要だ。

■核全面放棄向け進展■
 
 北朝鮮は核施設の無能力化やすべての核計画の申告を実施することなどを定めた6カ国協議の合意文書に基づいて、核の完全放棄に向けた動きをみせ始めている。
 
 米国はこの見返りとして、北朝鮮のテロ支援国家指定解除の動きをみせている。具体的な時期については示していないが、北朝鮮の行動と並行して解除に向けた作業を進めることが合意文書に盛り込まれている。
 
 日本があくまで拉致問題にこだわるのは当然だ。しかし、六カ国協議では同時に核、ミサイル問題の包括的解決を目指すとしている以上、日本はこれらの問題の進展にも備えておかなければならないだろう。
 
 北朝鮮の非核化に向けた動きに対しては同国を除くほかの国はエネルギーや人道的支援を行うことになっており中国、韓国はすでに実施している。
 
 こうした状況で、六カ国協議のメンバー国から日本に一定の「受益者負担」を求められた場合にどう対応するのか難しい判断を迫られる。
 
 拉致問題が進まない限りいっさいの支援を行わないとする従来の姿勢をどこまで押し通せるのか。
 
 日本政府は刻一刻と変化する北朝鮮情勢を見極め、拉致問題解決であらゆる可能性を探る必要がある。北朝鮮により具体的な働きかけを行い一刻も早く成果を引き出す努力をすべきだ。
 
 そうでなければ、進展をみせる国際社会の対北朝鮮外交で日本が孤立してしまうことになりかねない。

北朝鮮制裁延長 - 社説 - miyanichi e press