過去の清算、日朝に深い溝 国交正常化交渉 | trycomp2のブログ

過去の清算、日朝に深い溝 国交正常化交渉

●入り口論で長期化か

 3年3カ月ぶりに再開された日朝国交正常化交渉では、「過去の清算」をめぐる両国の立場の隔たりが改めてあらわになった。韓国との国交正常化と同様の「経済協力方式」を主張する日本に対し、北朝鮮はその方式を否定はしないものの、あわせて別の「補償」も求める姿勢を示した。91年に始まった正常化交渉は13回目となるが、今後の道のりは平坦(へいたん)ではない。(北京=倉重奈苗、高槻忠尚、津川章久)

 原口幸市・日朝国交正常化交渉担当大使 「過去の清算は経済協力方式で行いたい」

 宋日昊(ソンイルホ)・北朝鮮外務省大使 「我々はその方法だけではだめだ」

 6日の協議で両代表は認識の違いを見せた。

 国交正常化とは相手を国として認め、大使などを派遣しあう関係になることだ。国連加盟191国のうち日本と正式な外交関係がないのは、北朝鮮とモナコ、ソマリア3カ国しかない。

 北朝鮮との正常化までには、様々な論点で合意が必要だ。協議では北朝鮮が重視する「過去の清算」が中心議題となり、日本側は日朝平壌宣言に盛り込まれた財産・請求権の相互放棄の基本原則を基に、経済協力方式を主張した。

 これに対し、宋大使は「もう少し協議してみる」と語り、経済協力方式を前提にした協議を拒否しなかった。ただ、同時に経済協力方式だけでは不十分だとの考えを示した。在日朝鮮人の地位改善や文化財返還なども強調した。

 この日、日朝両政府は平壌宣言に従って交渉を進める方針を確認。同宣言には財産・請求権の相互放棄の基本原則を確認し、日本が北朝鮮に経済協力をすることが盛り込まれている。

 だが、宣言の合意後も北朝鮮は「謝罪と補償」を繰り返し要求してきた。6日の交渉で「補償」の具体的な中身は明らかではないが、北朝鮮は官営メディアなどを通じ慰安婦や強制連行の被害を取り上げ「被害者であるわれわれは加害者である日本に被害補償を求める権利がある」(労働新聞)などと、日本に補償を要求している。

 北朝鮮としては、最高指導者、金正日(キムジョンイル)総書記が署名した平壌宣言に盛られた経済協力を白紙に戻すことは考えにくい。「補償」への言及は、今後の交渉を有利に進めるための戦術の一つである可能性が大きい。

 日本側は韓国と正常化した時の経緯もふまえ、「補償」には応じない構えだ。北朝鮮があくまで「補償」にこだわれば、日朝間の基本関係条約や経済協力に関する協定の具体的な議論に入ることは難しい、としている。

 5日の拉致問題に関する協議では、日本にとって具体的進展を得られなかったこともあり、正常化の交渉も入り口論で長引く、との見方も日本政府内に出ている。

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◆国交正常化交渉の主な論点

◎「過去の清算」のあり方

・日本の主張=経済協力(無償資金協力、低金利の長期借款供与、国際機関を通じた人道主義的支援など)の実施

・北朝鮮の主張=経済協力にとどまらない、過去の植民地支配に対する補償

・「財産及び請求権」の扱い=日朝平壌宣言の「1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄する」との基本原則確認

・経済協力=韓国とは無償3億ドル、有償2億ドルで決着

◎基本条約の締結

・日韓併合条約など過去の条約との関係=北朝鮮は過去の交渉で「強圧的に締結したので当初から無効」、日本側は「当時は合法的に締結され、有効」と主張。日韓国交正常化交渉でも取り上げられ、「もはや無効」との文言で決着

◎在日朝鮮人の法的地位の問題

・北朝鮮の過去の交渉での主張=在日朝鮮人に対する民族的差別政策の撤廃、その法的地位と北朝鮮の国籍を認めることなどを要求

・日本の過去の交渉での主張=待遇改善に取り組んできた

◎北朝鮮由来の文化財引き渡しの問題

・北朝鮮は過去の交渉では返還要求。韓国には文化財に関する日韓協定に基づき引き渡し。不法取得を前提とする返還はなく、国交正常化後、友好と学術研究のため寄贈
asahi.com :朝日新聞今日の朝刊-政治面