「親愛なる委員長殿」ブッシュ氏、親書で核打開へ転換
「親愛なる委員長殿」へ――。ブッシュ米大統領は北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記(国防委員長)あての親書で、こう呼びかけた。米ホワイトハウスが6日、明らかにした。親書の詳しい内容はわかっていないが、北朝鮮が最も好むトップ間の呼びかけで、非核化に向けた金総書記の決断を促したとみられる。一方で決断に伴う「見返り」にどこまで踏み込んだのかも注目される。
訪朝を終え、北京入りしていたヒル米国務次官補は7日、成田空港で外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長と会談し、福田首相あての大統領親書を手渡した。
ブッシュ氏は金総書記だけでなく、6者協議参加国の各首脳に親書をしたためた。ホワイトハウスの専用便箋(びんせん)を使い、自身が署名したという。
ペリーノ大統領報道官によると、金総書記あての親書は、すべての核計画の完全な申告の必要性を強調するとともに、「北朝鮮が核拡散の問題についても対処すると受け止めている」として、シリアとの核開発協力疑惑などに対する説明を求めているという。
ただ、ブッシュ氏が金総書記に親書を送る行為自体が特別な意味を持つ。かつて「独裁者」「暴君」と表現し、演説で「金正日」と呼び捨てた相手に、対等に向き合う姿勢を示したと言えるからだ。年末を期限とする核計画申告の動きを北朝鮮がみせない中、対話路線にかけるブッシュ氏の意欲を印象づけた。
国務省高官は「北朝鮮政策はヒル氏やライス国務長官の政策ではなく、大統領自身の政策だということを首脳間で伝えた」と意義を説明する。
北朝鮮側の関係者は7日、「親書を受けた事実を米国より先に明らかにした。親書を歓迎し、肯定的に対応する考えを示した」と語った。
ヒル氏は同日、佐々江氏に訪朝結果を報告。会談後、記者団に「日朝関係を含めた地域関係の改善を重視し、日朝国交正常化作業部会での進展を期待する」という米国の立場を北朝鮮に伝えたことを明らかにした。
親書について、高村外相は7日の参院拉致問題特別委員会で「米大統領が6者協議を動かしたいという意欲を示したものと受け止めている」と述べた。
ブッシュ氏は11月の日米首脳会談で、非核化プロセスと日朝関係改善を並行して進める必要性に触れており、ブッシュ氏の「本腰」が拉致問題にも好影響を与えるとの期待が政府内にある。
韓国外交通商省の報道官も7日、「北が誠実に非核化を履行することの重要性を強調した」と述べた。韓国は休戦状態にある朝鮮戦争を終結させるため、北朝鮮の非核化を進めて南北朝鮮と米中による4者首脳会談の実現を目指す。非核化の実現には金総書記の決断が不可欠なだけに米朝トップ間で対話が進むことを歓迎している。
asahi.com:「親愛なる委員長殿」ブッシュ氏、親書で核打開へ転換 - 国際