北朝鮮:「核施設を停止」米に通告 初期段階措置に着手

【北京・堀信一郎】朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省報道官は15日「(韓国が提供する)重油5万トンの最初の配分が到着した14日、寧辺(ニョンビョン)核施設の稼働を中止し、国際原子力機関(IAEA)要員にその監視を許容した」と述べ、核施設の稼働停止を発表した。マコーマック米国務省報道官も14日、北朝鮮から寧辺核施設の稼働を停止したとの通告を受けたとの声明を発表した。北朝鮮入りしたIAEA要員によって核施設の稼働停止が確認されれば、米朝枠組み合意(94年締結)で凍結された原子炉の再稼働を03年2月に米国が確認して以来、約4年5カ月ぶりの停止となる。6カ国協議の合意では稼働停止は4月中旬の予定だった。核放棄に向けた「初期段階措置」は3カ月以上遅れて動きだした。
IAEAが稼働停止・封印を求める対象は寧辺の5000キロワット黒鉛減速炉、再処理施設など4施設と近くの泰川(テチョン)にある20万キロワット黒鉛減速炉の計5施設。
稼働停止を受けて18、19の両日、北京で開かれる6カ国協議首席代表会合は「第2段階措置」として「核計画の完全申告」「核施設の無能力化」に、北朝鮮がどういう態度を示し、米国がどう対応するかが最大の焦点になる。ただ、北朝鮮が既に保有する核兵器の扱いやウラン濃縮型核開発に関する議論も含め、完全な非核化への道のりは遠い。
北朝鮮外務省報道官は寧辺核施設の稼働停止について「2月13日の(6カ国協議)合意で重油5万トンが提供された時点で核施設の稼働を停止する予定だったことを念頭に置けば、約束を早めに履行したことになる。われわれの合意履行への信義を示すものである」と約束を守ったことを強調した。IAEA要員の寧辺での活動については「査察ではなく検証監視に限られる」と主張した。
◇「今後も課題」ヒル米国務次官補
6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補は15日、核施設稼働停止について「『核の無能力化』に向けた第一歩」と評価するとともに「今後遂行すべき多くの課題がある」と語り、核の完全廃棄への道の険しさを指摘した。ソウル訪問に先立ち、東京・羽田空港で記者団の取材に答えた。
ヒル氏は稼働停止には「いくつかの装置を冷却し封印しなければならず、2、3日かかるだろう」と述べ、国際原子力機関(IAEA)の要員が「放射能検知装置や監視カメラをすべて設置するまで2~3週間必要」との見方を示した。北京入りする17日に北朝鮮側首席代表の金桂冠(キムゲグァン)外務次官との個別協議を調整していることも示唆した。【高尾具成】
◇寧辺の核施設 平安北道寧辺は首都平壌から北約90キロ。北朝鮮の核開発の拠点で核関連施設が集中し、約3000人の科学者や技術者が働くといわれる。北朝鮮が停止・凍結に着手した5施設のうち4施設が寧辺にある。最重要とされるのが実験用黒鉛減速炉(5000キロワット)と放射化学研究所(使用済み核燃料再処理施設)で、この2施設で核兵器1個分に相当する6キロのプルトニウムを生産できる。北朝鮮は03年1月、核拡散防止条約(NPT)脱退を宣言し、同2月には核施設の再稼働が確認された。
◇初期段階措置 北朝鮮の核廃棄に向け6カ国協議参加国が「第1段階」で取る行動として2月13日、第5回協議で合意し、共同文書に明記した。北朝鮮は(1)60日以内に寧辺施設の稼働停止・封印(2)IAEAの監視・検証受け入れ--を行い、見返りに重油5万トン相当のエネルギー支援を受ける。米朝・日朝の個別協議開始も盛り込んだ。
毎日新聞 2007年7月15日 19時35分 (最終更新時間 7月16日 1時15分)
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