北朝鮮ビジネス 中国実業家ら証言 ワイロ「コメ10トン」 | trycomp2のブログ

北朝鮮ビジネス 中国実業家ら証言 ワイロ「コメ10トン」

<2006・チャンネルYou>

 ◇事務所開設まで半年、労働は火・水・木のみ、日朝正常化を心待ち

 核や拉致の問題に加えて、食糧不足も依然深刻な北朝鮮。だが、豊富な地下資源や安い労働力を狙ってコンテナ船が頻繁に行き来するという別の顔もある。第一線の実業家ら5人の証言から、北朝鮮ビジネスの実態を探った。【北京・西岡省二】

 ◆カネと人脈

 北朝鮮での仕事に不可欠なのは「ワイロと地元有力者」。証言した5人全員がこの点で一致する。

 羅先(ラソン)に拠点を置く中国人実業家の場合、現地事務所の開設申請から許可を受けるまで半年近くかかった。初期投資額は2万5000ドル(約275万円)。「手続きの途中、役人が『コメ10トン』『車1台』などと要求する。応じなければ先に進まない」。地元有力者と組めば話は早いが「信頼できる人を見つけるのが一苦労」だそうだ。

 平壌(ピョンヤン)での事務所の維持費は、一般に中国人民元で年間20万~30万元(約300万~450万円)。住居は別に借りる必要があり、平壌駅近くの外国人アパート(70~80平方メートル)なら月1500~1800ドル(約16万~20万円)。ちなみに外国人が扱えるのは外貨だけだ。

 ◆交通・通信

 最大のネックが国内輸送。平壌から新義州(シンウィジュ)までは200キロほどだが、道路事情が悪く、貨物車なら半日かかる。「咸鏡南道(ハムギョンナムド)・咸興(ハムン)から羅先までの400キロは、雪が降れば車で丸2日」(中国人実業家)だ。列車は電力不足でダイヤは乱れがち。列車発着の案内に電話すると「平壌豆満江(トマンガン)列車 現在5時間遅れ」などと答える。

 電話設置費は羅先で1500ドル、中国に1分間通話すれば12元(約180円)、日本なら32元(約480円)。インターネットは平壌の一部を除いて普及しておらず、中国に国際電話をかけてプロバイダーに接続する。通信状態は不安定で、よく途切れる。携帯電話は禁止だが「中朝国境近くなら中国の携帯が使え、多くの商人が持っている」(北朝鮮商人)という。

 ◆労働者意識

 北朝鮮では「金曜は労働奉仕、土曜は学習、日曜は総括、月曜は週末の復習。働くのは火・水・木曜だけ」(在日朝鮮人ビジネスマン)。中国と比べて北朝鮮には社会主義の価値観が強く残り、「たくさん働き、多く稼ぐという発想がない」と嘆く。地元住民を雇用して難しい仕事をさせても逆に効率は下がる。翌日さらに翌々日に仕事が延びることもしばしば。

 一方で、成長が見込まれる産業もある。ある企業体は日本の携帯電話ゲームのソフト製作を中国企業を通して請け負っている。「いまは画像の動きと音声を合わせる程度。だが、人材は着実に育っている」(在日朝鮮人ビジネスマン)という。

 ◆苦労の代償

 北朝鮮とのビジネスは苦労の連続だが、中古自動車の輸入業務などビッグビジネスをつかむチャンスもある。さらに、多くの実業家が粘り強くかかわりを持ち続ける最大の理由はズバリ、日朝国交正常化だ。進展すれば日本から膨大な経済協力金の投入が期待される。「正常化を果たせば、日本からゼネコンがインフラ整備に入る。その仲介ビジネスは非常に魅力的だ」。証言者の一人がそうささやいた。

 <証言した人>

・平壌投資をあっせんする中国人ディーラー

・北部でビジネスを展開する中国人実業家

・羅先経済貿易地帯で働く中国人実業家

・中国と北朝鮮を行き来する北朝鮮商人

・北朝鮮とのビジネス歴10年の在日朝鮮人

毎日新聞 2006年3月10日 東京夕刊
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