【焦心】(上)持ち込まれた写真の波紋 | trycomp2のブログ

【焦心】(上)持ち込まれた写真の波紋

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≪安倍政権1年で幕 「拉致」正念場≫

 どうもひっかかる。写真撮影に神経をとがらす北朝鮮。ましてや「解決済み」と公言している日本人拉致の「被害者」が写った写真が外部に持ち出されることがあるのだろうか。

 「そもそも、あの写真がなぜ北から持ち込まれたのか…」。政府関係者は首をかしげる。

 拉致被害者を調べている特定失踪(しっそう)者問題調査会が「拉致濃厚」とする鳥取県米子市の矢倉富康さん=失跡当時(36)=と酷似する朝鮮中央放送委員会の日本語アナウンサー「慎範(シンボム)」が写った写真。

 訪朝し、写真に一緒に写った日本人ら一行が持ち帰ったものだが、今になって大きな波紋を広げている。

 調査会が矢倉さんを「拉致濃厚」としたのは今年6月初旬。昭和63年夏に一人で出漁して消息を絶った矢倉さんだが、後に日本海で発見された漁船に衝突された跡があったことなどから、北に連れ去られた可能性が浮上した。だが、この段階では「慎範」の写真は調査会にはもたらされていなかった。

 写真は、矢倉さんが「拉致濃厚」と発表された直後の6月中旬から7月にかけて、報道関係者などを通じて、調査会と政府関係者に渡った。矢倉さんと、写真の「慎範」が似ていたことから、「2人は同一人物」ではとの見方が急速に広がった。

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 実は、「慎範」の写真が最初に日本に持ち込まれたのは、3月のことだった。関係者によると、訪朝した日本人メンバーは帰国後すぐに、「この中に拉致被害者とみられる人物が写っている」と言って写真を報道関係者に渡したという。

 政府認定の被害者17人は別にして、調査会に寄せられている特定失踪者は約470人。該当する失踪者を絞り込むことはできなかった。

 「北朝鮮側のなんらかの思惑を感じざるを得ない」。公安関係者はそう指摘する。公安当局は、今回訪朝したメンバーの中に、北が国家の基本方針とする「主体(チュチェ)思想」を研究する「主体思想研究会」に関係する人物が含まれていたことを把握している。

 朝鮮映画の上映会や読書会などを通じて北のシンパを呼び込む主体研はかつて、日航機「よど号」ハイジャック犯の妻たちの多くも参加。“北への窓口”にもなった。

 訪朝メンバーの一人から写真を受け取った報道関係者は、政権中枢への取材ルートがあったという。ある政府関係者は「拉致に言及する安倍首相を嫌う北が、官邸を引っかけるために写真を持ち出させたのではないか」と話す。

 一方で、写真が持ち込まれた3月は、矢倉さんは「拉致濃厚」の失踪者には含まれておらず、矢倉さんについての情報が公表されることはほとんどなかった。その時点で、北が「矢倉さん=『慎範』」という謀略を仕掛けたかといえば、それも考えにくい。

 では、北の意図は…。

 「『拉致被害者』という言葉を使って、首相や官邸側に、水面下でコネクションを作ろうとした可能性は考えられる。写真にはそうしたメッセージが込められていたのかもしれない」。別の政府関係者はそう指摘したうえで、「北が何らかの動きをみせようとしたと受け止めている。調査会に写真が持ち込まれたことは、想定外だったのかもしれないな」と話した。

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 北朝鮮の核問題をめぐり、米朝が歩み寄りを見せる中、北が求める「テロ支援国家」指定解除には、拉致問題での進展が変わらず含まれている。国際政治の表舞台では、「拉致は解決済み」と公言し続ける北だが、日本側との折衝を持たないことには、事態はかわらない。6カ国協議の日朝作業部会を頻繁に行うことを北朝鮮側も了承したことも、変化の兆しと受け止められる。

 小泉純一郎前首相が訪朝し、金正日総書記が拉致を認めた日朝首脳会談から5年。「拉致問題の解決」を国政の最優先課題に掲げて、政権を引き継いだ安倍晋三首相は12日、わずか1年足らずで突然、辞任を表明した。

 拉致問題はどうなっていくのか。「正念場」にいる拉致被害者家族は焦りをかくせない。

「【焦心】(上)持ち込まれた写真の波紋」事件です‐事件ニュース:イザ!