「大韓航空機爆破事件」から18年 拉致と接点浮上 北工作機関が暗躍 | trycomp2のブログ
一九八七年、日本人の旅券を持った二人の北朝鮮工作員が、ミャンマー沖上空で大韓航空機を爆破させた「大韓航空機爆破事件」から二十九日で丸十八年。北朝鮮はこのテロを一貫して否定しているが、日本人拉致を含め、最近明らかになった外国人拉致事件から、大韓機爆破事件につながる北朝鮮工作機関の暗躍ぶりがおぼろげながら見えてきた。
◆「タイ人」マカオでも
大韓機事件と拉致事件の接点は、拉致被害者の田口八重子さん=拉致当時(22)=で、大韓機事件の実行犯、金賢姫元死刑囚(43)の日本人化教育係をさせられていたことが捜査当局の調べで判明している。さらに、最近明らかになったマカオでのタイ人拉致事件の舞台にも、大韓機事件との接点があった。
タイ人女性のアノーチェ・パンチョイさんは七八年七月、仕事先のマカオから拉致された疑いがもたれている。「エストリルホテル」で働いていたアノーチェさんは、日本人を名乗る男に観光ガイドを頼まれ、消息を絶った。男は北朝鮮工作員とみられる。
韓国当局は金元死刑囚が八四年九月、「蜂谷真由美」名でこのホテルに一週間滞在したことをつかんでいる。田口さんから日本人化教育を受けた一年半後のことだ。
これまでの調べでは、ホテルを出た金元死刑囚は、大韓機事件で服毒自殺したもう一人の実行犯、「蜂谷真一」こと金勝一工作員とマカオで合流する。二人は西側社会への順応訓練の一環でマカオに現れたのだ。
ホテル周辺には西側情報機関が「北朝鮮の工作拠点」とする貿易会社「朝光貿易公司」があり、ホテルには度々工作員が出入りしていたことが確認されていた。
◆地村さん証言と一致
金元死刑囚の著書などによれば、大韓機事件の一カ月前の八七年十月、金元死刑囚は中国・広州に赴いた。マカオで長期不法滞在している中国人に永住権を与えるとの情報を得て、工作任務で使う身分を取得するため、同僚の金淑姫工作員と広州に潜伏した。
「金淑姫」。帰国した拉致被害者、地村富貴恵さん(50)の証言で明らかになった、横田めぐみさん=同(13)=が一時、日本語を教えていた女工作員と名前が一致する。
広州にいた二人のうち金元死刑囚だけが突然、平壌に呼び戻され、大韓機爆破の指令を受けた。「二つの朝鮮を認めることになるソウルオリンピックを阻止するために、南朝鮮の飛行機を“消せ”ということでした」(『金賢姫全告白 いま、女として』=文芸春秋=より)
金元死刑囚と金勝一工作員は八七年十一月十二日、平壌を出発。モスクワ、ブダペスト、ウィーン、ベオグラードを経由して、爆弾を仕掛けた大韓航空機858便が出発するバグダッドへ。
二人が「後方支援部隊」から時限爆弾用のラジオと液体爆薬の入った酒びんを受け取ったのはベオグラードの「メトロポールホテル」だった。
◆同じホテルが登場
このホテルはレバノン人拉致事件にも登場する。
「日本企業が秘書を募集」。七八年七月、「北」の工作員が仕組んだ偽の募集に応募したレバノン人女性四人が、採用前の「研修」名目に飛行機で北朝鮮に連れ去られた。日本に研修に出かけたはずの娘たちが音信不通になっているとレバノンの家族たちが騒ぎ始めた。事件の発覚を恐れた北朝鮮側は偽装するため、四人のうち二人をベオグラードに連れ出し、家族に電話させた。
当時、北朝鮮から直接国際電話をかけると、オペレーターを通すため発信国が分かってしまう。だから、友好関係にあったユーゴスラビア(当時)のベオグラードから直接電話させ、日本からかけているように装わせたのだ。被害者に電話をかけさせたのがメトロポールホテルだった。
このホテルもマカオのエストリルホテルと同様、「北」の工作員の出入りが頻繁だった。「北」の工作活動網の中で、大韓機事件と外国人拉致事件は密接につながっていたのだ。
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【用語解説】
大韓航空機爆破事件 1987年11月29日、乗員乗客115人を乗せたバグダッド発ソウル行き大韓航空858便がミャンマー沖で爆破された事件。韓国当局は途中まで同機に搭乗していた北朝鮮の金勝一(事件発覚で服毒自殺)と金賢姫の両工作員によるテロ事件と断定した。自殺に失敗した金賢姫工作員はソウル五輪妨害が目的と自供、記者会見でも犯行を認めて死刑判決を受けたが、特別赦免された。(11/29)
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