日朝協議 次の一歩を注視する | trycomp2のブログ
北京で4日から続いていた日本と北朝鮮の政府間協議はきのう、さしたる成果もなく終わった。協議を続けていくことで一致しただけだ。
「北朝鮮から進展が示されなかったことは遺憾だ」「誠意が見られない」。交渉に当たった原口幸市大使が憤るのも無理はない。
拉致の真相と容疑者の引き渡しを迫る日本に対し、北朝鮮はまともに答えようとしない。逆に脱北者を支援する日本のNGO関係者らを「引き渡せ」と、突拍子もないことを言い出す始末だ。
対話と圧力の両面作戦でというのが日本の基本方針だが、こんな振る舞いを北朝鮮が続けていては「圧力」を求める世論が高まるのは避けられない。このマイナスを北朝鮮は真剣に考えるべきだ。
あらゆる面で行き詰まっている日朝関係を解きほぐす糸口がみつからないか。そんな期待は裏切られた。
進展がなかったのは拉致問題だけではない。安全保障の分野で日本は、核兵器とミサイルに強い懸念を伝え、偽札づくりや資金洗浄の疑惑もただした。だが北朝鮮は聞き置く態度に終始した。核問題をめぐる6者協議にいつ戻るかについても何も語らなかった。
国交正常化の交渉は3年3カ月ぶりの再開だった。日朝両首脳が署名した平壌宣言は、植民地支配などの「過去の清算」について経済協力方式で解決させるとうたっている。だが、北朝鮮はそれだけでは不十分だとして「強制連行や従軍慰安婦に対する補償」を求めた。
進展とは言い難いが、「過去」に何が含まれるのか、日朝間で考え方に大きな差があることはわかった。
もともと半世紀以上もまともな付き合いがなかった両国である。一朝一夕にことが片づくはずもない。それが厳しい現実だ。辛(つら)くとも粘り強く、地道に交渉を続けていくしかないだろう。
5日間の協議で「虚心坦懐(きょしんたんかい)に意見を交換し、互いの立場をより鮮明に知ることができた」と北朝鮮代表は語った。実質的な実りはなかったとはいえ、今回の協議を外交用語で評価すればそういうことなのだろう。
確かに、率直な意見を直接伝え合った意味はある。正常化への道筋を描いた平壌宣言が確認されたのもよかった。協議の最低限の役割は果たしたとも言える。
暗礁から抜け出せない「日朝」を動かすためにも、ここは6者協議の再開と進展を目指して知恵を絞りたい。北朝鮮の核問題が前に進み出せば、日朝間の懸案を解く促進剤になるからだ。
この時期に北朝鮮が日本との協議に応じたのは、6者協議も含めて対話を続ける意思を米国と中国に見せる狙いがあってのことだろう。時間稼ぎをしているように見える北朝鮮だが、最近は金正日総書記が訪中したのをはじめ、米国とも水面下で接触を重ねている。
そうした探り合いがどんな形で現れるか、北朝鮮の次の一歩を注視したい。
asahi.com :朝日新聞今日の朝刊-社説
