日朝協議:並行協議に合意も、拉致問題に大きな隔たり | trycomp2のブログ

日朝協議:並行協議に合意も、拉致問題に大きな隔たり

 日朝両政府が25日、拉致、安全保障、国交正常化交渉の3協議会による並行協議で合意したことで、日朝間の「対話路線」が定着しそうだ。11月初旬の前回協議まで政府間対話が約1年間途絶えていたことを考えると、一定の前進と言える。だが、焦点の拉致問題をめぐる立場の隔たりは大きく、来年1月末以降、具体論に入れば入るほど、思惑の違いが顕在化する可能性は高い。

 今回の対話について、外務省は「北朝鮮が『ノー』を言いに来るだけということはない」と受け止めていた。そもそも並行協議方式という日本側の提案は、拉致問題のこう着状態を打開するため、国交正常化交渉再開を呼び水に北朝鮮を対話の場に引き出すという「北朝鮮側にある程度譲歩した提案」(外務省筋)だったからだ。

 ところが、北朝鮮が改めて「拉致問題は解決済み」と表明、経済協力につながる国交正常化交渉の重要性を強調したことから、日本側は国交正常化交渉だけが進むことを懸念、初日の協議では合意できなかった。

 拉致問題では政府は今年4月に田中実さんを追加したのを含めて11件16人を拉致被害者と認定、このうち11人は安否不明のままだ。日本側は25日の協議で、生存者の帰国や真相究明などと、16人以外の特定失踪(しっそう)者に関する情報提供などを求めたが、北朝鮮側から回答はなかった。

 日本側代表の斎木昭隆・外務省アジア大洋州局審議官は2日間の協議を終え、北朝鮮が拉致問題などの解決に「誠意を持って努力し、具体的な措置を講ずる」との原則が確認できたため合意に達したと強調、「拉致問題の解決を迫っていく足場ができた」と語った。だが、日本代表団筋は「拉致問題は解決済みとの立場を北朝鮮が今回大きく変えたということはない」と指摘しており、北朝鮮が今後、拉致問題で従来の姿勢をどこまで転換するかは不透明だ。

 他の2分野でも、国交正常化交渉については、65年の日韓基本条約の破棄を求める動きが韓国内で出ていることなどが影響して「日朝間でもそんなに簡単には進まない」(外務省筋)との見方が浮上。安全保障分野は6カ国協議での議論が主体にならざるを得ない中、同協議自体が、米国の北朝鮮への金融制裁をめぐる米朝対立によって、再開の見通しが立たない状況だ。【北京・中田卓二】

 ◇日本の譲歩を推量か…北朝鮮

 北朝鮮が日本側の提案に同意した背景には、日朝間で解釈が異なる「拉致問題」の定義をあいまいにしたまま、国交正常化交渉への道筋をつけたい思惑があったようだ。

 日本は3協議会の「包括的」な扱いを強調し、優先順位は置かない考えだ。これに対し、北朝鮮は「国交正常化問題と過去の清算問題は、歴史的にみれば拉致や核の問題が発生する以前に解決しておくべき問題」(宋日昊(ソンイルホ)・外務省アジア局副局長)との立場を打ち出しており、今後、国交正常化交渉協議会の迅速な進行を主張するとみられる。

 北朝鮮にとって拉致問題の本格協議は「拉致は解決済みという国家的立場を翻すこと」(日朝外交筋)だ。宋副局長は協議終了後、記者団に「(北朝鮮が)立場を変えた、変えなかったという話ではない」と述べ、拉致問題の主張に変化がないことを強調した。

 横田めぐみさんの「ニセ遺骨」問題をめぐっては「鑑定した朝日の専門家同士の協議にしようと考えている」と表明。拉致協議会を日本が繰り返し求める「生存者の帰国」などを話し合うのではなく、遺骨問題に集中した議論の場にしたい意図がうかがえた。【北京・西岡省二】

毎日新聞 2005年12月25日 20時40分 (最終更新時間 12月26日 0時29分)
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